白家騒々篇
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「白泉様。蒙恬様がお見えになりました」
守衛の言葉に僕はまたか、と頭を抱える。蒙恬は僕のことを余程気に入ったのかは分からないが、しょっちゅう僕の家に遊びに来ている。最初の方は蒙恬を屋敷に入れて良いか毎度尋ねに来ていた守衛も、もう確認すら取らなくなっている。完全に事後報告だ。ちゃんと働け馬鹿者が。
「やっほー!白泉!!今日は王賁を連れて来たよー」
そう言って我が物顔で僕の執務室にずかずかと上がり込んできた蒙恬。その後ろには蒙恬の言っている『王賁』と思われる男の子が、ふて腐れたような顔をして立っていた。
「白泉!こいつが王賁!!俺の幼馴染み!ほら王賁も挨拶して!」
蒙恬が王賁に話し掛けるが、王賁はふいっとそっぽを向いてしまった。どう見ても王賁は僕と宜しくする気はないようにしか見えない。しかし蒙恬は気にしてないのか「照れ屋なんだからー」何て言っている。きっと蒙恬は王賁が照れているわけじゃ無いことが分かってて、わざと言ってるんだろうな。そう言ったらきっと。
「誰が照れ屋だ」
王賁が反応をするから。予想通り過ぎる展開に苦笑いしか出てこない。王賁がそれっきり何も言わなかったので、仕方なく僕は王賁に近づく。
「僕が白泉だ。よろしくね、王賁」
笑いかけると王賁はふいっとそっぽを向いてしまった。嫌われたかなー、と思っていたが王賁の耳が僅かに赤くなっているのが見えた。おっとこれは…本当に照れている?
「王賁マジ照れしてんじゃん」
「でたらめを抜かすな!」
顔を真っ赤にしながら蒙恬に噛みつく王賁。誰がこんな男女に…!なんて悪態を吐いてるけど、顔が赤いせいでまるで説得力がない。なんというか、微笑ましくなってしまう。男女という中傷も許せる程度には、な。
「まぁ良いさ。多分これから関わっていく機会が多くなるだろうからね。少しずつでも良いから、僕と仲良くしてくれると嬉しい」
そういいながら手をさしのべると、王賁はそっぽを向いたままぼそりと呟いた。
「別に…誰も仲良くしないとは言ってない」
そう言って交わしてくれた手が妙にこそばゆかった。まぁ、蒙恬が微笑ましそうにしているのに気が付いてすぐに手を振り払われてしまったが。
「白泉、この後の予定は?」
「勉強」
「分かった!一緒にカニ取りに行こ!!」
「僕の話聞いてた??」
「聞いてて知らんふりをしているのだろう」
王賁それは僕も分かってるよ。でも聞かずにはいられないじゃないか。確定事項なら聞く意味ないよね??
はぁ、と溜息を吐いたあとでふっ、と息を漏らす。僕の小さな友人は本当に僕を連れ出すのが上手い。だからこそ大好きなんだ。