坂田さん、坂田さん
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「あら?土方さん?」
「ん?響ちゃん…お前ここで働いてたのか?」
「えぇまぁ、人が居ないときのヘルプとしてですが…」
やって来たのは真選組の皆さん。きっと将軍様の護衛だろう。…将軍様のキャバクラ遊びに付き合わされるなんて、真選組も大変だなぁ。てか土方さん、完全に私のこと響ちゃん呼びになってるんだけど。多分私の名前知らないからなんだろうけど、土方さんの口から出る響ちゃんがパワーワードすぎる。タカさんに響ちゃん呼びされるのと同じくらい恥ずかしい。坂田さんは…なんかもう慣れた。
それにしても。
「何見てんでィ」
この人は初めて見る。この間志村さんと土方さんの修羅場に突入してきた人の中に、この茶髪の人はいなかった。
じーっと見ていると、茶髪の少年はじーっと見返してきた。こうやって見返してこられると、なんだか引くに引けなくなってしまう。どうしようと思いつつも目を逸らしたら負けな気がしてそのままじっと見つめる。この子目ェ大っきいな。子犬みたいに可愛い顔してる。
茶髪の少年はすると片方だけ口角を上げるという非常に器用なことをした。何か悪どい顔してる。
「調教しがいのある雌豚でィ」
この人坂田さんと同じ人種だったァァ!!やだ、嘘でしょ!!
「Sな人って意外と多いんですね…」
SMな世界とか世の中終わってる。まさか土方さんも…?
ちらり、と土方さんを見上げると土方さんは眦を吊り上げた。
「俺はノーマルだ!!」
「嘘吐いちゃいけませんぜ、土方さん。土方コノヤローはドMでィ。アンタも気を付けな」
「総悟ォォ!!」
ブチ切れる土方さんと逃げる総悟さん。なんというか、土方さん完全に総悟さんにおっちょくられてるよ。玩具にされてるよ。土方さんは副長なんだから、たぶん総悟さんよりも上の人だよね?…舐められてるなぁ。
「なんだァ?今日は店の娘少なくねーか。盛り上がらねーな、これじゃ」
「大丈夫ですよ!あちらに行けばいっぱいいますから」
警察庁長官である松平様に適当なことを言う志村さん。いっぱいって…そんなにいないよ!!出迎えに行ったのは、私と志村さん、神楽ちゃん、女の子と美人さん。つまり向こう側に残っているのは、ソープ嬢の格好をした従者さんとこれまたソープ嬢の格好をした猫耳さんだ。
…どこがいっぱい??
「あ、ホラ。松平さん、みんな待ってますよ」
私は視界に映り込んできた目も当てられない光景に頭痛がした。
「どーも。パー子でーす」
「パチ恵でーす」
メガネさんと坂田さんが何故かソープ嬢になっていた。いやいやいや、おかしいでしょ!!なんでそうなるの!!猫耳さんと従者さんはどこいったの!?てか店長は!?
近藤さんはそんな二人を見て、とぼけた感想を零した。
「アレ?なんか今日初めて見る娘が多いな。新人さん?」
近藤さん、天然なのか?明らかに違うでしょ。そうじゃないでしょ。新人さんとかそういうのじゃないでしょ。
誰がどう見てもあり合わせのメンバーだよ。
げっ、という顔をする坂田さんとメガネさん。坂田さんは土方さんと仲良くないから、まぁそういう顔になるよね。…店で暴れないと良いけど。
坂田さんが何故かしゃくれで誤魔化そうとしたのに触発されたのか、神楽ちゃんや女の子がそれに続く。そして美人さんはボールギャグを付けてるし。根本的に間違ってるよ。
これもう完全にキャバクラじゃないじゃん。イロモノ系の店になってるよ。
「じゃあごゆっくり楽しんで下せェ。俺達ぁしっかり外見張ってるんで。上様」
ほ、本物の将軍様だァァ!!煌びやかなお召し物に凜とした佇まい。これぞ将軍って感じだ。
わぁー!!凄い!!本物の将軍に会っちゃった!!タカさんとか家族に自慢しちゃお!
頭の中で色々と考えつつも、緊張して身体が動かない。もし粗相とかしちゃったら打ち首獄門だよね。…ミスしないように気を付けよう。
志村さんと共に将軍様をご案内する。
「おーい、将ちゃん。こっちこっち」
先に席に着いている松平様が将軍様を呼ぶ。…ちょっと待って。松平様、将軍様のことを将ちゃんって呼んでるの??マジで?
しかし将軍様ご本人は全く気にしていないのか、将ちゃんで良いとまで言う始末だ。
将軍様って慈悲深いんだね。凄いや。
坂田さんが松平様にしゃくれ女と呼ばれてキレたり、メガネさんがこれまた松平様に芋いおさげと呼ばれてキレたりはしたが、二人とも漸く席に着いた。松平様は二人が席に座ったのを確認すると、将軍様ゲームをしようと提案してきた。
松平様って本当にそういうゲーム好きだよな…。
「よーし、じゃあ始めるぞ。ホラ早い者勝ちでくじを引き抜…」
松平様がそう言い終わる前に、女性陣が全力で棒を取りに行く。えっ…皆ガチすぎない?てか女性陣の皆様、強すぎじゃないですか?あの志村さんと張り合えるって…え?ヤバくないですか??
私普通の人間なんですけど。生き残れる気がしないんですけど!!
唖然としている私に、坂田さんはポンと肩を叩いてきた。
「響ちゃんの分引いといてやったから。響ちゃんじゃアイツらに太刀打ちできねぇだろうし」
「あっ、ありがとうございます…!!」
坂田さん…!私今初めて坂田さんがいい人だと思ったよ!!セクハラするだけじゃなかったんだ!凄い、後光射して見える…!
坂田さんから棒を受け取りながらも嬉しくて、ニコニコしていると坂田さんはうっと息を詰まらせて、顔を覆った。
「坂田さん?どうされたんですか?」
「その、アレだ。今良心の呵責に耐えてるところだから」
「はい?」
何を言ってんだ、坂田さんは。良く分からない。
「あー私将軍だわ」
坂田さんが将軍になったようだ。坂田さんくじ運強いなー。坂田さんは何故か私をチラッと見た後で、ゴホンと咳払いをした。何?今の。
「えーと、じゃあ4番引いた人。下着姿になってもらえますぅ」
マジか。マジか坂田さん。やっぱこの人セクハラ大魔王じゃん。最低だよ。と思っていたら。
4番引いたのは、将軍様だった。
…坂田さん、きっと処刑されるな。下着姿になってしまった将軍様から若干目を逸らしながら、そんな事を考えた。