坂田さん、坂田さん
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うちの定食屋に来た坂田さんと土方さん。だけど二人はいつもとかけ離れた状態で、思わずポカンと口を開けてガン見してしまった。
「さ、坂田さん…土方さん…。その怪我、どうされたんです?」
「…高島屋デパートの自動ドアに挟まった」
「…三越デパートの自動ドアに挟まった」
口を揃えてそう言う。別に示し合わせたようではないらしいが、奇跡的に二人とも同じようなことを言っている。
坂田さんと土方さんはお互いに睨み合って、メンチを切りあっている。
「おい、何真似してんだテメェ。気色悪ぃんだよ」
「それはこっちのセリフだ。真似してきたのはそっちだろ。謝れよ」
「言いがかりも大概にしろよ!!お前が謝れよ」
「テメェなんかに謝るかよ。テメェに謝るくれぇなら俺は総悟に背中向けて寝るし」
「俺はアレだ、テメェに謝るくれぇならお妙のダークマター食うし」
な、なんてくっっっっだらない争いなんだ。お前ら小学生か。てかお妙のダークマターって何?志村さんダークマターでも作れるの?何それ人間としてありえないでしょ。
「はい、そこまでにして下さい。ご注文はいかが致します?」
「甘ーい卵の親子丼で」
「マヨネーズたっぷりの親子丼で」
…別に良い。べつに良いんだけど、二人とも相変わらず拘りが強い。はーい、と答えた後で卵を取り出す。坂田さんの卵にはたっぷりと砂糖を、土方さんの卵にはマヨネーズをこれでもかというくらい入れる。
…ちょっと入れすぎた気がしなくも無いけど、味覚の狂ってる二人にはこれくらいが丁度良いと思う。
「やっぱ料理ができる子って良いよなー。響ちゃんさー、ウチに来ない?」
坂田さんのさり気なく掛けられた言葉にフライパンをひっくり返しそうになる。ウチに来ない?って…それ、まさかお嫁にってこと!?
ちらり、と坂田さんを見ると、坂田さんは流し目でこちらを見ていた。そ、そんな事急に言われても…!!
「えっ、あっ…」
どう反応しようかと戸惑っていると、土方さんが大きく舌打ちをした。
「テメェにやるわけねぇだろ。おい、こんなヤローのところより、ウチに来い。少なくともこんなちゃらんぽらんな奴より、待遇はずっと良いぜ」
土方さんの言葉にびっくりする。まさかあの鬼の副長さんがこんな事言うなんて。土方さんの真剣な目に射抜かれる。
「ひ、土方さんまで…」
ど、どうしよう…!!なんて反応すれば良いか分からず、取り敢えず手元をカチャカチャと動かしていく。ふ、蓋閉じて、ご飯よそって…まって、あと何が必要!?
私が一人テンパっている間に、二人はまたも喧嘩を始めた。
「ふざけろよ。うちにはなァ、死ぬほど旨そうに食べる奴らがいるんだぜ?響ちゃんだって旨そうに食べてる奴を見る方が嬉しいに決まってんだろ」
「ほざけ。テメェの場合無償労働だろーが。うちは福利厚生もきっちり出すし、そんじょそこらのバイトよりもよっぽと給料良い」
「給料は…あれだ。俺が身体で払うから。俺めっちゃ床上手だから。死ぬほどイかせるし」
二人の会話に違和感を覚えて手を止める。多分だけど。もしかしなくても。
『
『
…こういうこと、だよね?これは恥ずかしい。嫁に来いって意味だと勘違いしてた自分が恥ずかしい!!
「お待たせ致しました!」
二人の前にどん!と丼を置く。口論に夢中になってた二人はその音に驚いて少し飛び上がっていた。どこか期待を込めた目で見てくる彼らに、私は毅然として言い放った。
「私はどちらにも参りません。ということで、いつも通りご贔屓にして頂けると嬉しいです」
ニッコリと笑いながら言うと、おう、というどこか不満そうな声が重なった。