坂田さん、坂田さん
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珍しいことに、土方さんがご来店した。いつもは土方さんではなく、真選組局長の近藤さんがいらっしゃるのだが、珍しいことに土方さん一人だけらしい。まー、驚いた。
しかもご指名は近藤さんがストーカーをするほどお気に入りの志村さん。やだー、泥沼じゃないですかー。
と、思いつつも興味があるので二人の会話に耳を傾ける。ちなみに聞き耳を立てるには、志村さんたちの席の真後ろと超ベストポジションである。
「んんぅ~。響ちゃん~膝枕ぁ~」
「はいはい」
ちなみに私が接客(?)しているのは坂田さんだ。上の発言から分かるように、彼は完全に酔いつぶれている。立派な酔っ払いだ。何があったのかは知らないが、今日はやけにいいペースで呑んでいる。
まあいつも土方さん顔を突き合せれば喧嘩を始めるので、坂田さんがこうして静かにしてくれているのは、とてもありがたい。
心置きなく二人の会話に聞き耳を立てることができる。
「で?近藤さんは知っているの?私たちがこういう関係にあるって」
志村さんの言葉に衝撃が走る。ちょっと待って!?こういう関係って、まさかそういう関係!?三角関係のドロドロの不倫みたいな、昼ドラみたいな関係なの!?
し、知らなかった…。というか、そもそも志村さんは近藤さんの事嫌っているのかと思っていたけど、今の話からして嫌ってはいないのかもしれない。それを表に出さないうえに、愛情表現が過激なだけで。
「お妙さァァァん!!」
急にむさ苦しい男の声が聞こえてきて、思わず振り返ってしまう。志村さんと土方さんの前にぞろぞろと並んだ男たちは、何を思ったのかいきなり土下座をした。
「どうか局長の女房に…。俺たちの姐さんになってくだせェェ!!」
話はよく分からないが、どうやら腰の低い恐喝に来たらしい。というか、志村さんの前でそんなことを言うとは恐れ入る。だって絶対ボコられるもん。
…というか、やくざみたいなダサい恰好をしているのって、うちのアパートの住人の山崎さんじゃない?山崎さんって真選組だったの??
「スカスカの脳みそしか詰まってねーだろうがァァ!!」
志村さんに頭を掴まれた山崎さんは、そのまま志村さんにぶん投げられる。…志村さんの事は尊敬してる。でもこの凶暴さは何とかならないものだろうか。被害がこっちにも来そうで怖い。せっかく坂田さんを酔いつぶしたというのに、もしこっちに人が飛んで来たら、坂田さんが起きてしまう。
そしたらきっとこの場はもっとカオスになると確信している。
「てめーらしつこいんだよ!!」
怖いから振り向けないが、志村さんが無双してることは分かる。ドゴォォン、ドガシャと皿や机が次々と割れる音が聞こえる。きっと店長の心労がまた増えるだろう。
はぁ、とため息を吐く私を他所に、坂田さんは気持ちよさそうに私の膝の上で寝息をたてている。それにしても、坂田さんの髪ってふわふわだなぁ。雲みたいだなぁ。
それに触ってみたくなって手を伸ばす。やっぱりふわふわしてて気持ちいい。なんかトイプードルでも触ってるみたいだなぁ、なんて思ってクスリと笑う。
「ん…」
一瞬坂田さんのなんというか、色っぽい声が聞こえてきて、不覚にも顔が赤くなる。え、ちょっと待ってよ。それは反則だよ。
よく見れば坂田さんって結構顔整ってるし、体も筋肉質で男らしいし…。
ダメだ!!
「すみません!!」
このままではまずいと私の本能が警報を鳴らしていたので、ボーイさんを呼んですぐに坂田さんを店の外に追い出した。今はそんなに寒い季節でもないし、風邪ひくことはないでしょ。うん。
でも、もし坂田さんが風邪ひいちゃったら、お見舞いに行くくらいはしてあげてもいいかな。
そんなことを考えながら、皆と一緒に滅茶苦茶になった店内の片づけを始めた。