坂田さん、坂田さん
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「あっ、お前!!」
チャイナ服を着た女の子に突然話し掛けられて思わず戸惑う。誰だ、この子。
「お前が船から降りてくるとこ見てたアル!お前、あの眼帯厨二の仲間ダロ!」
「眼帯厨二…?」
厨二はともかく、眼帯と言われて思い浮かぶのはタカさんしかいない。
「もしかしてタカさんのことかな…」
「タカさん…?銀ちゃんは高杉って言ってたアル」
首をかしげる私と同じようにチャイナ服の女の子も首をかしげる。その様子が可愛くてつい笑ってしまうと女の子は不機嫌な表情になった。
「笑ってんじゃネーヨ」
えらく辛辣な子だ。可愛い顔とは裏腹に毒舌らしい。
「とにかく、銀ちゃんをあんな目にあわせたお前らは許さないアル」
「…銀ちゃん?」
「白髪でちゃらんぽらんで足がくさくてプー太郎の坂田銀時のことアル」
やはり銀ちゃんとは坂田さんの事だったらしい。しかし許さないと言われても、私は坂田さんに何もしていない。寧ろいつも嫌がらせを受けているのは私の方だ。
「おーい、神楽ちゃん。何してんの」
突然現れた坂田さんに思わず肩を揺らしてしまう。坂田さんとはあの良く分からない反応をされた以来なので、何となく気まずい。というか、神楽ちゃんって…。何となく呼び方がロリコンっぽくて犯罪臭い。
「あ、銀ちゃん」
「お前さァ、真っ直ぐ帰って来いって言ったじゃん。何フラフラしてんだよ」
真っ直ぐ帰って来い。つまりそれはこの神楽と呼ばれる少女と坂田さんは一緒に住んでいると言うことだ。ますます犯罪者臭い。この少女の貞操が心配だ。そういえば私も初対面でセクハラされたんだった。
「ん?響ちゃんじゃん。神楽響ちゃんと知り合いなの?」
「全然知らないアル。銀ちゃんこそこの女と知り合いアルか?」
「響ちゃんはオトモダチだよ」
「ただの顔見知りです」
適当な返答をする坂田さんに事実をそのまま伝えると、坂田さんはいつものようにウザく絡んできた。
「響ちゃんひどくね?もう俺ら結構喋ってんじゃん。友達でも良くね?」
「良くないです。私坂田さんとよろしくしたくないですし」
私の言葉に坂田さんはポカンとした顔をした。
「よろしくって…。俺はよろしくしたい。今からちょっとホテルいかね?」
「銀ちゃんマジキモいアル」
「坂田さんキモいです」
私と少女の声が被る。私と少女は顔を見合わせた。
「なんか響ちゃんと仲良くなれる気がするアル」
「奇遇だね。私も神楽ちゃんとは仲良くなれる気がする」
私の言葉に神楽ちゃんは顔をパァッと明るくした。その様子が可愛くて思わず笑ってしまう。
「やべっ、響ちゃんの笑顔とか超レアじゃん」
坂田さんの一言で思わず真顔に戻る。なんか坂田さんに笑顔になったことを指摘されるのは腹が立つ。なんか恥ずかしいし。
「響ちゃんもいっつも笑ってれば可愛いのにな」
「かわっ…!?」
不意打ちで放たれた可愛いという言葉に固まってしまう。自分でも顔が赤くなっていくのが分かる。
言葉を放った当人である坂田さんも私の反応が予想外だったのか顔が赤くなっていく。
「さっ、坂田さんのアホー!!」
私は居たたまれなくなって思わず悪口を言って立ち去る。心臓がドキドキとうるさいのはきっと、走ってるせい。