坂田さん、坂田さん
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「…ってなことがあったんですよ。タカさん、どう思います?その男」
「別にどうも思わねぇ」
タカさんのつれない言葉に私は肩をガックリと落とした。この前坂田さんに訳の分からない反応をされた、という話をしたのだがタカさんは素気なく私を切り捨てた。久しぶりに会ったというのに素っ気ないのが悲しい。
「しかも響ちゃんとか呼んでくるんです。馴れ馴れしいと思いませんか?」
「…そいつ、お前のこと好きなんじゃねぇのか」
「えっ!?いやいや、まさかそんな。会う度に嫌がらせしてくるんですよ?響ちゃんって呼んでるのも嫌がらせの一環ですよ」
「俺ァ嫌ぇな奴をあだ名で呼んだりはしねぇがな…。お前だってそうだろ、響ちゃんよォ」
美形のタカさんに響ちゃんと呼ばれて思わず顔が赤くなる。なんというか、それは反則だ。別にタカさんのことを恋愛対象として見ているわけでは無いが、憧れの人にあだ名で呼ばれるのはやはり恥ずかしい。というか、照れる。まぁそれと同時にタカさんから出てくる「響ちゃん」がパワーワード過ぎてゾッとするが。
「…タカさん、それは反則ですよ」
私の言葉にタカさんはククッと楽しそうな笑顔を浮かべて酒を煽った。そんな動作の一つ一つが絵になるのが腹立つ。タカさんは年相応の色っぽさというか、艶やかさを持っている。私はこんなエロスティクな男性に会ったことがない。坂田さんとか、酒飲んでも下ネタ大声で叫んでそうだもんな。絶対こんな色気は出ない。
「今日は月が綺麗だな」
窓の外から見える月は確かに明るくて綺麗だった。月の光が海面で反射しているのが幻想的でなんとも美しい。やっぱりタカさんは情緒がある人だなぁ。
「あぁ、確かにそうですねぇ。じゃあ折角ですし甲板で呑みましょうよ!月見酒とかどうです?」
タカさんは私の顔をじっと見てくる。一体何なんだろう、と思いながら見返す。するとタカさんは呆れたようにフッと笑った。
「お前は相変わらずお子様だな」
「えっ!どういう意味です?」
「まぁお前には早いか」
タカさんはそう言うと床に置いていた酒を引っ掴んだ。
「月見酒、すんだろ?」
「はいっ!!」
嬉しくてタカさんの後ろを付いていく私を見てタカさんは犬っころみてぇだな、と言ってきたのでその手を軽く叩いておいた。
甲板に出たは良いものの、風が寒すぎて結局そのままお開きになった。