真選組動乱篇
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万事屋さんへ帰ってきた隊長さんは、なんと土方さんを連れてきた。万事屋さん3人が土方さんの前に並んでいたため、土方さんの分のお茶を淹れた私は土方さんの隣に腰掛けた。土方さんは少しだけ私と距離をあけた。いやなんで。私土方さんに嫌われてるの??
「…あのォ、すいませんでした。まさか、あんな所にあなたがいるとは思わなかったもんで…。ひ…土方さん」
「いや良いんだよ。この限定モノのフィギア『トモエ5000』が無事だっただけでも良しとするさ」
あの鬼の副長さんが完全にオタクになってる。というか土方さんフィギア持ち歩いちゃうほどのオタクだったんだ…。ちょっと気持ち悪いな。気持ち土方さんから距離を取る。
「…ていうか。…え?…オタク……土方…さんですよね?ホントに」
銀時さん、信じられなさすぎて敬語になってる。普段貴方土方さんだなんて呼ばないでしょうに。
「何を言ってるんだよ~坂田氏」
「坂田氏!?」
「この通り正真正銘土方十四郎でござる」
「ござる!?」
土方さんは神楽ちゃんを中華少女パパイヤのコスプレ、完成度高いなど言って写真を撮っていた。ダメだ、もう完全に私の知っている土方さんはそこにはいなかった。
土方さんは私をちらちらと見ながら話しかけてきた。
「響ちゃん氏も写真…良いかな」
「え…」
なぜ私。私は普通の和装だから何のコスプレにもならないと思うのだが。
「あっ、あとこのエプロン着けて貰っても良いかな」
土方さんから手渡されたのは『PIYO PIYO』という文字と可愛いと言って良いのか若干微妙なヒヨコが胸元に描かれたエプロンだった。ちらり、と土方さんを見る。若干頬を染めて期待に満ちた目で私を見ている。うっ、断りづらい…。
仕方なく立ち上がってエプロンを身につける。
「響ちゃん氏、ポーズはこう、胸の前でぎゅっと拳を握って…」
「こ、こうですか?」
「そう!最高だよ~。まさに管理人さんでござるよ~。あとその島本須美ボイスで『頑張って下さいね』って言ってほしいでござる」
「頑張って、下さいね」
催促されるがままにセリフを言うと土方さんは白目を剥いて鼻血を出して倒れた。戸惑って助けを求め銀時さんを見る。すると銀時さんは自身の股間を押さえながら前屈みになってた。え、まさか銀時さん…。
「罪な女アルな」
「いやいや!!おかしいって!」
土方さんが目覚め、銀時さんの勃起が収まった頃合いを見計らって隊長さんが仕切り直す。
「あの…仕事はどうしたんですか。昼間からこんな所ブラついて」
「仕事?あぁ、真選組ならクビになったでござる」
一瞬の間の後、隊長さんが驚きの声を上げる。私もあまりの事に絶句して声も出ない。なんで!?と言う隊長さんに土方さんは何て事ないかのようにつまらない人間関係とか嫌になっちゃって、と言い放った。それどころか第一志望アニメ声優だなんて言う始末だ。確かに土方さんはイケボだけど…。いやいや、そういう事じゃないから!!
私の知ってる土方さんは、真面目でいつも真選組の事を考えているような生粋の仕事人間だった。休みの日は定食屋に来るくらいしかする事がないくらい、いつも真選組が中心の人だったのに。
「働いたら負けだと思ってる」
もう嫌だ。こんな土方さんは土方さんじゃない!!
「そうだ!考えたら君らもニートみたいなもんだろ」
「誰がニートだ!!一緒にすんじゃねーよ!!」
「どうかな。僕と一緒にサークルやらないかな。今僕To LOVEるの同人本描いてるんだけど。坂田氏はジャンプに詳しいだろ。一緒に今年の夏、夏コミで荒稼ぎしないか」
そういって土方さんが出してきたのは幼稚園児レベルの下手くそな同人本だった。いや、これは売れない。誰も買わない、買いたくないよ。
土方さんはフィギアを買いすぎて貯金も底をついてしまったらしい。刀を何度も売ろうとしたらしいが、この刀がおそらく妖刀だったせいでどうしても手放せなかったんだとか。
なんか、もう…滅茶苦茶だよ。この後、銀時さん達は鍛冶屋さんへと向かった。なんでもその手のことに詳しい人がいるんだとか。私は夕飯の準備をしたかったから買い出しへと向かうことにした。
…ちょっと寂しいなぁ。ギャアギャアと騒ぐ彼等の後ろ姿を見てふとそんな事を思った。