真選組動乱篇
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
坂田さん、改め銀時さんの婚約者になったは良いもののさっそく壁にぶち当たってしまった。その壁というのは私の仕事と住む場所をどうするかというものだった。
仕事については、どうやら銀時さんは私にすまいるを辞めてほしいらしい。でも私はすまいるは時給も良いし、何より店長に泣いて引き留められるから辞めるに辞められない。それに銀時さんは万事屋としての仕事が基本的に上手くいってないらしく、生活苦が続いているらしい。銀時さんを支えると考えるとアパートの収入だけではやっていけない。
住む場所については、今は私にはアパートが、銀時さんには万事屋がある。銀時さんは家主だから当然万事屋を離れるわけにはいかない。私は引っ越そうと思えば銀時さんの家に引っ越せるが、私と銀時さん、神楽ちゃんの3人で暮らすには万事屋は狭すぎる。
当面の間は今まで通り過ごし、暇な時に銀時さんが私のアパートを手伝ったり、逆に私が万事屋さんを手伝ったり、銀時さんが私の家に泊まりに来たりということで落ち着いた。
管理人としての仕事を終えた私は、万事屋さんに遊びに来ていた。どうやら今日は新ちゃんさんは何か用事があるらしく、万事屋さんにはいなかった。新ちゃんさんは万事屋さん唯一の良心だからいないと少し寂しい。
「お茶入りましたよ」
銀時さんと神楽ちゃん、私の分のお茶を淹れて居間まで持って行く。万事屋さんにお邪魔する回数ももうそれなりに多く、勝手知ったるとばかりに自由に使っている。
「サンキュー、響ちゃん」
「響ちゃん、私の分机に置いといてヨ!」
「はーい」
神楽ちゃんはテレビの前で何かをしている。なんか必死にやっているから、きっと大切な事なんだろう。
「銀時さん、神楽ちゃん何やってるんですか?」
「さぁ、知らね」
湯飲みを置いた後、銀時さんの隣に腰掛けようとすると、ぐっと後ろから腰の辺りが斜め後ろに強く引っ張られた。どうやら銀時さんが自分の膝の上に私を乗っけようとしたらしい。神楽ちゃんがいる前で…とジロリと見るが銀時さんはどこ吹く風だ。それどころか
「響ちゃん、耳真っ赤」
「…っ、五月蠅いです!」
耳元でこんなことを囁いてくる始末。やめて!本当に恥ずかしいから。それにもし神楽ちゃんに見られたら、神楽ちゃんはきっと『汚い大人の世界を見ちゃったアル』みたいな顔をするだろう。そんな顔されたら私のメンタルがもたない!!
銀時さんと無言の攻防を繰り広げていると、テレビの中からよく聞き慣れた声が聞こえてきた。…ん?新ちゃんさん?
『オタクが全て引きこもりやニートの予備軍だというその考え方は改めてほしいですね。僕らの中にだってちゃんと働いて社会に向き合って生きているオタクもいるんです』
新ちゃんさんの下には『53 アイドルオタク 志村隊長』と書かれている。へぇ、新ちゃんさんアイドルオタクだったんだ。それにしても志村隊長ってなんだろう。これからは隊長さんって呼んだ方が良いのかな。よし、隊長さんって呼ぼう。
というか隊長さん、熱くなるあまり周りが見えなくなってる。司会者が他の人にも意見を聞こうとしているのに隊長さんが遮ってしまっている。銀時さんも視聴者に間違いなく嫌われるくらい鬱陶しい、なんて言ってる。まぁ分からなくもないかな。
ちなみに隊長さんの勇姿を録画しようとしている神楽ちゃんはまだビデオレコーダーと格闘している。
隊長さんは二次元好きのオタクを攻撃し始めたらしく、二次元vs三次元の図ができあがっていた。私からすればどっちも大して変わらない。
「結局二次元の女の子に焦がれてても成就しないでしょ。時間の無駄でしょ」
隊長さん、それを言ったらアイドルオタクの恋も成就しないと思う。私と同じ事を思った人がいるらしく、7番のトッシーなるアニメオタクさんも同じ事を指摘していた。この人格好が生粋のオタクという感じでなんとなく気持ち悪いな。…というか、この人誰かに似ているような。
「できたアル。とろとろアル~!!」
「つーかパン焼いてたの?録画じゃなかったの?」
神楽ちゃん、テレビの前でなぜパンを焼いたんだ…。
またテレビに視線を戻して驚く。二次元派と三次元派の間で起きた大乱闘のせいで外れたトッシーさんのサングラスの下には見慣れた顔があった。
「銀時さん、今テレビに映ったのって土方さんじゃないですか?」
「…ん?ホントだ」
アイツ何してんの、と呟いた銀時さんに私はさぁ、と返すしかできなかった。
1/4ページ