Case2
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「初めましてだよ」
「そうですか…。すみません、変な事を聞いてしまって」
「いいよ~、気にしないで。ところで君達は誰かな?」
あ、まだ自己紹介をしてなかった。慌てて蘭と一緒に頭を下げる。
「彼女に誘われて一泊することになった毛利蘭です」
「朝倉さくらです。お世話になります」
話は中で、と言った荒さんに毛利さんは脅すように荒さんの胸倉を掴んで「娘には手を出すなよ」と低い声で言った。
「ねぇ、僕も泊まっちゃ駄目?」
「バーカ、風邪っぴき野郎が何言ってんだ!!じゃあ娘達をよろしくお願いしますよ!!」
小五郎さんにパーカーのフードを掴まれて連れ去られていくコナン君はまるでドナドナされる子ヤギのようだった。…ちょっと可愛い。コナン君は何か言いたそうな目で私を見ていたので、お大事に、と口パクで伝える。…何でそんな呆れたような顔をするの。
「これで来てないのはボードリーダーの『脱出王』さんと『影法師』さんだけね…」
「ええ?影法師さんも来るんですか?」
田中さんの言葉に園子は少し嫌そうな顔をした。園子がこういう反応をするってちょっと珍しい。蘭も同じことを考えていたのか、不思議そうな顔をしている。
「どうしたの、園子?」
「だってーその人いつもインターネットに、『私は空を飛べる』だの『姿を自在に消せる』だの不気味な事ばかり書きこんでいたんだもん!」
確かにちょっと変わった人かも…。
「とにかくボードリーダーが来ない事には…」
「誰か脱出王さんの電話番号分かります?」
脱出王さんの電話番号も、本名も知っているという荒さんが脱出王さんの電話を掛ける事になった。だが、脱出王さんが電話に出ることは無く、留守電に切り替わっただけだった。荒さんが知っていたのは固定電話の番号だったため、すぐに来るだろうという結論になり、彼が来るまで各自過ごすことになった。
荷解きを終えた後、園子の提案でのんびりとバルコニーから裏庭を眺める事にした。綺麗な雪景色だ。こんな雪が積もってる所に来るのは中3の時のスキー教室以来だ。…あの時は事件に巻き込まれたんだっけ。それで事件解決した後、新一君が…。今思い出してみるとなんだか恥ずかしい。
「さくら、アンタなんか顔赤くない?」
「えっ、気のせいじゃないかな…」
「あっそう…」
園子ははぁ、と大きなため息を吐く。
「土井塔さんがイメージ通りなら言う事無しなんだけど…」
「コラコラ、それは言わないの!」
「でも土井塔さん、博士みたいで可愛いと思うよ」
「博士を可愛いっていうのは多分アンタだけよ…」
園子が呆れた声を出した時、ふと気配を感じて後ろを振り返る。するとそこにはバイトの須鎌さんが居た。どうやら食事ができたから呼びに来てくれたらしい。須鎌さんが立ち去ったのを見届けると、蘭が息を吐いた。相当驚いたらしい。
「ビ、ビックリしたー…」
「ーったく、ろくな男が居やしない…。あーあ…やっぱ私の憧れの君は彼一人か…」
「彼って…まだそんな人が?」
「まだ会った事のない、私の王子様♡」
綺麗にウインクをする園子を見て首を傾げる。まだあったこと無いのに気になる人…?誰だろう。学校の人じゃないだろうし、もしかしてネットで知り合った人なのかも。
昼食を食べながら尊敬する日本のマジシャンは誰か、という話になった。
「ああ…私は黒羽盗一さんが好きだったな…」
「あ、僕も同じです!」
荒さんの言葉に土井塔さんが同意する。
「じゃあ私は木之下吉郎さんにしとこうかしら?」
「そんじゃーオレ、九十九元康さん!」
田中さん、浜野さんの言葉に黒田さんは少し呆れたような顔をした。
「なによ、みんな死んじゃった人ばっかり…。私は今、超人気の真田一三さん!あなた達は?」
マジックは好きだけど、正直マジシャンについて詳しくないからな…。知ってるのは快斗君のお父さんの黒羽盗一さんくらいだしなぁ。でも実際に黒羽盗一さんのマジックは見たことがないからよく分からない。唯一見たことあるマジックはテレビ越しだったし、しかもそれで命を落とされていた。実際に見てみたかったな…。
「そりゃーもっちろん!怪盗キッド様よ!!!」
へ?怪盗キッド?なんでと思ったけれど、そう言えばこないだ絶対イケオジとか言ってたような…。実際は高校生なんだけどね…。
「でも彼、泥棒ですよ…」
「それに日本人かどうかもわからないし…」
「誰がなんと言おうと怪盗キッド!!!」
荒さんと土井塔さんの言葉に園子はハッキリと断言した。ん?土井塔さんって…いや、ただの偶然か。それにしても園子が怪盗キッドを…。しかも憧れの王子様とまで思ってるとは。意外だな。でも園子は年上の方が好きだから意外とドタイプなのかも。
「君たちも怪盗キッドが好きなのかい?」
浜野さんが僅かにからかうようにして私達に尋ねてきた。少し考えてから首を振る。
「私は怪盗キッドには詳しくないので何とも…。私の尊敬するマジシャンは私と同じく高校生の男の子ですね。その子、私の友達なんですけどすごくマジックが上手で。あんな魔法みたいなマジックは久しぶりに見ました」
一緒に連絡先を交換してから何回か遊んでマジックを教えてもらったけど、快斗君のマジックは本当に凄い。魔法みたいにポンポンと切り替わって、タネなんて分かりやしない。簡単なものを教えてもらったけど、やっぱり快斗君のように滑らかに美しくやることはできない。
「あら?もしかしてその子の事好きなの?」
「はい」
大きく頷く。すると何故か皆驚いたような、からかっているような顔をしていた。ん?友達なんだから当然じゃないの?
「友達ですから」
私の言葉に園子は全く紛らわしいわね、と呟いた。何故に?