Case2
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「ねぇ、ちょっとお腹空かない?何か頼もーよ」
園子の提案に頷いて、蘭と一緒にメニューを覗き込む。たこ焼きとかあるよ、なんて話していると、沢井さんが窓の外を見て驚いたような声を上げた。
「おい、あれ火事じゃないか?」
「わっ、ホントだ…」
沢井さんの声につられて窓の外を見る。確かに建物が燃えていた。嘘…。早く119番しなきゃ。慌てて携帯を取り出していると燃えている建物を見ていた早坂さんと森本さんが声を荒げた。
「ちょ、ちょっとあれってまさか…」
「僕らの貸別荘!?」
待って、あそこには麻美先輩が居る。
『はい、119番です。火災ですか?救急ですか?』
「っ、火事です!!」
小五郎さんが運転する車に乗り込みながら指令員さんの言葉に従って答えていく。冷静に、冷静に。麻美先輩はきっと大丈夫だから。通話を終えて、携帯をそのままぎゅっと握りしめながら祈る。どうか麻美先輩が無事でありますように。
車が止まったのを感じて、車から急いで出る。火はもう屋敷全体に回っていた。
「あ、麻美先輩だわ!!」
真っ先に屋敷に駆け寄った蘭の言葉にはじけるように蘭の傍に駆け寄る。蘭の腕に抱かれている麻美先輩は、意識を失っているみたいではあるけれど、特にやけどの痕とかも無さそうだ。良かった。
「麻美先輩を屋敷から離そう。此処は危ないから」
「そうね」
麻美先輩を車の傍まで運んで、救急車が来るのを待つ。
「…ね」
「え?」
小さな声が聞こえてきた。最初は蘭が何かを喋ったのかと思ったけれど、蘭も不思議そうな顔をしている。
「さくら、今何か言った?」
「ううん、私は何も…」
「ご、めんね…くど…くん…」
麻美先輩だ。何で麻美先輩が新一君に謝るんだろう。譫言のように麻美先輩は新一君に謝る。蘭と一緒に首を傾げる。
「麻美先輩?」
麻美先輩に呼びかけたけれど、麻美先輩はすう、と安定した寝息を零していた。起きていたわけじゃ無いみたいだ。
「麻美先輩、何で新一に謝ったんだろう?」
「さぁ…?でも麻美先輩と新一君は仲良いみたいだし、何かあったんじゃないかな」
蘭は私の言葉に黙っていた。…やっぱり、蘭は麻美先輩と新一君の関係を気にしてるのかな。
「確かに麻美先輩は私たちの知らない新一君を知ってる。でも、私たちも麻美先輩の知らない新一君を知ってるよ」
そう言うと、蘭はキョトンという顔をした後でおかしそうにふふっと笑った。あー、可笑しい。と笑う蘭に首を傾げる。なにか変な事言ったかな。
「そうね。私だって、新一の知らないさくらをいっぱい知ってるわ」
「何で私の話になるの…?」
「誰かさんがさくらの傍から居なくなるからよ」
蘭からは微かに怒っているような気配がした。私の傍から居なくなる…。誰の事だろう。お兄ちゃん?でもお兄ちゃんはもうずっと前に亡くなってるから、今更蘭がお兄ちゃんの話をしたりしないよね。
消防車と救急車が到着する音がしてから、麻美先輩を救急隊員の所まで運ぶ。蘭が言ってた誰かっていうのは…また後で考えよう。
蘭と園子に続いて麻美先輩に付き添おうと救急車に乗り込もうとしたその時、コナン君が私を呼び止めた。
「待て、さくら…姉ちゃん」
「なに?」
コナン君はあう、と蘭達をみて少し言い淀んでいたが顔を少し赤くしながら口を開いた。
「その、僕と一緒に居て、欲しいな~、なんて…」
コナン君可愛いなぁ。多分事件関係の事で手伝ってほしい事があるだけだろうけど。コナン君の言葉にコクンと頷いた。
「うん、分かった。二人とも麻美先輩の事よろしくね」
「任せなさい!!アンタはそのガキンチョについててやんなさい」
園子の頼もしい言葉にありがとう、と言ってから救急車から降りる。救急車が出発してしばらくすると、ようやく消化活動も終わったらしい。あれだけ別荘全体に火が広がっていたんだ。当然鎮火までに時間もかかる。
「行こうぜ、さくら」
「うん」
…これがただの事故だったら良いんだけど。頼もしい小さな背中について行くために、私も屋敷に向かって歩き出した。