Case2
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やはり怪盗1412号の犯行予告状は盗むつもりのない、嘘の物だったらしい。それと、怪盗1412号ではなく怪盗キッドというのが主流の呼び方のようだ。どうしてキッドって呼ばれてるんだろう。キッドの意味は若者、青年、子ヤギ…。コナン君から話を聞いた感じだと男性のようだったらしいから、「青年」という意味が妥当かもしれない。
さて、キッドは鈴木財閥の60周年を記念した船上パーティーで本物のブラックスターを盗む、という内容の犯行予告状を新たに出したらしい。私と蘭、小五郎さん、そしてコナン君は園子に招待されて、パーティーに参加していた。
「我が鈴木財閥も今年で早や60周年…。これもひとえに、皆様のお力添えのおかげでございます…。今宵はコソドロの事など忘れて…500余名が集まった優雅かつ盛大な船上パーティーを…ごゆるりとお楽しみください…」
園子のお父様の史郎さんがグラスを持ったので私も慌ててグラスを手にする。すっかり乾杯の音頭の事を忘れていた。
「その前に…」
史郎さんの挨拶を止めたのは、園子のお母さんの朋子さんだった。史郎さんは驚いた顔で朋子さんを見ていた。止められるとは思って無かったのだろう。
「今夜は特別な趣向が凝らしてあります…。乗船する際に皆様にお渡しした小さな箱…。さあお開け下さい…。それは愚かな盗賊へ向けた私からの挑戦状…」
朋子さんの言うままに箱を開ける。中を開けて、驚いた。中から出てきたのは黒い真珠、つまりブラックスターだった。
「そう、我が家の象徴であり、怪盗キッドの今夜の獲物でもある…
勿論本物は一つ…それを誰に渡したのかを知るのも知っているのも私一人…。あとは全て、精巧に造られた模造真珠というわけです…。
さぁ皆さん、それを胸にお付けください!そしてキッドに見せつけてやるのです!!盗れるものなら盗ってみなさいとね!!」
不敵に笑う朋子さんに感心する。流石は鈴木財閥。模造品とはいえ、500人分の黒真珠を作るなんてそうできないだろう。まさに朋子さんならではの発想だ。
それにしても誰が真珠を持っているのかな。胸に真珠をつけながら考える。乗船の時に箱を乗船した人の順に渡していたから、招待客の特定の誰か一人に渡すのは難しい。例え「何番目に来た人に渡す」と決めていたとしたら誰が持っているかは把握できるだろうけど、そんなリスキーなことするだろうか。ブラックスターを渡した者が必ずしもいい人とは限らないし。やっぱり鈴木家の誰かが持ってると考えるのが妥当かな。園子か、史郎さんか、綾子さんか…燈台下暗しで朋子さんかも。
「…園子?」
蘭の不思議そうな声に顔を上げる。いけない、また考え事して周りが見えなくなってた。園子を見ると困った顔をして辺りを見渡していた。
「どうしたの?」
「見当たらないのよ、姉キの姿が…。まさかまだ家に…」
そういえばまだ一度も綾子さんに会っていない。蘭と顔を見合わせる。蘭もそういえば、と今気づいた顔をしていた。
「園子のお姉さん、大丈夫かな…」
「なにかあったわけじゃないよね?」
綾子さんの事が心配になってきた。園子を見ると電話は通じてるみたいだから、誘拐とかそういう事ではなさそうだ。
「えぇっ!!姉キまだ家にいるの!?」
園子の近くに行くと、園子はスピーカーモードにしてくれた。優しい。
どうやら綾子さんは警察に出発を二時間遅らせる、と聞かされたから家に残っていたらしい。これも怪盗キッドの仕業なのだろうか。なんのためにこんなことを…。
『そうよね、お父さん?』
…え??園子のお父さん、家に居るの??じゃあさっきの史郎さんは、誰なの??
傍で話を聞いていたコナン君が飛び出していく。それを見てピンときた。なるほど、どうやら怪盗キッドはもう既にこの船にいるらしい。それも史郎さんに化けた姿で。