Case2
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「新、一君…?」
コナン君じゃない、新一君の姿に思わず箒を落としてしまう。落ちた箒なんて気にも止めないで新一君の側に駆け寄る。今はただ新一君がいることが信じられなくて、確かめたかった。
「どうして…」
すぐ側に駆け寄って分かった。この人は確かに新一君にそっくりだけど、でも新一君とは別人だった。不思議そうな顔してるし、何より新一君とは全然違った気配を纏ってる。
「ごめんなさい。人違いでした」
「あぁ、気にすんな!!それよりもお前この神社の巫女なのか?」
新一君そっくりの男の子は私の発言を特に気にすることもなく、さり気なく別の話題にすり替えてくれた。優しいいい人だ。
「はい、まぁ家の手伝いみたいなものです」
「家の手伝いか。偉いな。てかタメで良いぜ。同じ高校生だろ?」
「分かった。でもなんでタメって分かったの?」
首をかしげると男の子は悪戯っぽく笑った。少し得意気な顔がやっぱり新一君に似てるな。
「朝倉神社の娘といえば『神に愛された娘』っつって有名じゃん」
「え、初めて聞いたんだけど…。何そのあだ名」
神に愛された娘って…なんか厨二病くさいんだけど。というか神に愛されてるんだとしたら、もっと…。
「ほら、見てみろよ。ここに書いてあるだろ」
男の子からスマホを受け取って画面を覗き込む。それは誰かのブログのようなものだった。
『朝倉神社の娘さんが驚くほど美しい。時折巫女として剣舞や神楽を舞っているが、その姿はもはやただの女子高生とは思えない。そうだ、きっと彼女は神の娘だ。神に愛された娘なのだ!』
そこには神楽を舞っている私の写真も載せてあった。遠くから、しかも暈かされているので一見では分からないけど、知り合いが見たらすぐに私だと分かるようなものだった。
うーん、褒めてくれるのは嬉しいけど身に余りすぎるというか、誇張しすぎじゃないかな。
「これありがとう」
「いいえ、どう致しまして。あっ、そういや自己紹介がまだだったよな」
パンっと手を叩いた男の子はニッと悪戯っぽく笑った顔を近付けてきた。
「俺、黒羽快斗ってんだ!宜しくな!!」
「わぁっ…!!」
ポンッという軽い破裂音と一緒に快斗君の手の中から薄い桃色の薔薇が出てきた。凄い、マジックだ…!!
「私は朝倉さくらだよ。快斗君、マジック得意なの?」
私の言葉に快斗君は少し驚いたような顔をした。そんな驚くような事をした覚えは無いんだけどな。
「何?どうしたの?」
「あ、いや。何でもねぇよ。…マジックは得意だぜ。俺は世界一のマジシャンを目指してるからな!」
「黒羽盗一さんみたいな?」
私の言葉に快斗君は気を良くしたのか、顔をパッと明るくした。
「あぁ!まぁまだ親父のようにはいかねーけど、ぜってえ超えてやるんだ!!」
親父?そういえば快斗君と黒羽盗一さんは同じ苗字だ。ということは、快斗君と黒羽盗一さんは親子…。へぇ、凄いなぁ。
ピンッと頭の中に過ぎったのはお母さんの知り合いだという人から教えて貰った簡単なマジック。快斗君のマジックの後だとやるのはちょっと恥ずかしいけど。
「快斗君、頑張ってね。私、応援してるよ」
「っ!」
快斗君は自身の右手首に現れたパワーストーンに一瞬驚いていたが、ふっと笑みを零した。
「やるならもっと上手くやんねーとな。今度教えてやるよ」
タネどころか私が気付かれないように腕時計を確認したことすらバレてしまっていたみたい。
「じゃあまたな!コレありがとよ!!」
「うん、バイバイ」
なんとなく快斗君とは良いお友達になれそうな気がする。
快斗君を見送りながらそんなことを思った。