Case2
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「ただいまー」
「お帰りなさい、さくらさん…」
吹奏楽部のコンクールの練習のために武道場を使いたい、という申し出があった為、珍しく今日は部活が無かった。宿題があるから、と真っ直ぐに家に帰ってきた私を出迎えたのは、やけに草臥れている叔父さんだった。もう着流しに着替えているところを見るに、神主としての仕事は全部終わったらしい。
「さくらさんに
友人とは誰のことだろうか。というか叔父さんをここまで疲れさせる人とは一体。蘭や園子じゃないし、コナン君…もまぁ無いだろう。叔父さんのことが得意ではない新一君が自分から近づいてくる訳ないし。
よたよたと階段を登っていった叔父さんを見送ってから、リビングへと向かう。ドアを開けて中をのぞき込んで…絶句した。
「おぉ、待っとったで、さくら」
「…何してるの、服部君」
「聖はんに出してもろた茶飲んどる」
「うん、それは見れば分かるよ。どうしてここにいるの?」
服部君はニヤッと笑ってから鞄から何かを取り出した。それはパンフレットのようなものだった。服部君はそれを私に手渡してきたので、素直に受け取る。そこには『シャーロックホームズフリーク 歓迎ツアー』なる文字が書かれていた。
「服部君、これ何?」
「ホームズオタクん為のツアーや。さくらと一緒に行こか思てな」
「え、嫌だよ」
私の言葉に服部君は大げさに驚いた。
「なんでや!!一緒に行こうや!」
「いや、なんか事件起きそうだし…。それに私は別にホームズに興味ない。あと明日はバイトがあるの」
「はぁ?何やその理由は。そんなん理由にならんわ。俺かて興味あらへんし」
眉を顰めた服部君。いやいや、可笑しいよ。ホームズに興味ないのに普通ホームズフリークツアーには行かない。
「じゃあなんで行くの?」
「このツアーに工藤が来るんちゃうか、思てな」
何だその理由は。つまり、新一君に会いたいが為に興味もないこのツアーに行くと…??
「服部君って新一君のこと好きなの?」
「ちょお気色悪いこと言いな!!俺はアイツに会うて聞きたいことあってん。せやからツアーに参加しよ思たんや」
いや、でもその行動力は凄いと思う。そこまでできる人はなかなか居ないのでは??
「そっか。服部君は凄いね」
「ん?そうか?」
「うん、凄い。で、そのツアーは何時からなの?」
服部君はパンフレットを開きながら答えた。
「迎えのバスが東京駅に20時に来るらしいで」
「そっか。じゃあもうそろそろここ出たほうが良いよ」
「せやな。ほらさくらも準備すんで」
「行かないって」
服部君はようやく絶対に私が行かないと理解したらしく、つまらなさそうに唇をとがらせた。その姿にがっかりしたときの新一君が重なって、心が揺るぎそうになってしまったのを耐える。
彼は服部君。新一君じゃ無いから。
「しゃーない。ほな行くわ。もし工藤に会うたらさくらにも連絡したるわ」
「うん、ありがとう」
新一君は今コナン君だからなぁ。会うことはないだろうけど。とりあえず御礼だけ言っておいた。
三日後に服部君から『コナン=工藤やんけ!!』というクレーム電話が着て驚いたのは言うまでもない。