Case2
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暗号を見た博士ははて、と言いながら首を傾げた。
「この図柄…。前にどっかでみたような…」
「ほ、本当かよ!?」
どこで見たんだ、と急かすコナン君。博士はコナン君の勢いに半ば呆れたように、急かすな新一君と言った。
「新一って…誰ですか?」
聞こえてきた声に私たちは固まる。恐る恐る振り返ると、怪訝な顔をした子供たちがいた。どうやら気が付かない間に声が大きくなっていたらしい。
「これはコナン君よ!!間違えないで!!」
そう言ってコナン君をバッと抱きしめる吉田さん。コナン君と身長ほとんど変わらないのに、コナン君を抱えられるなんて凄いなぁ。意外と力持ち。
「それよりも君も考えて下さいよ!床に書かれたあの暗号!」
「オメーだけだぞ。宝探しサボってんの!」
コナン君を責める小嶋君と円谷君の言葉に、私は床を見る。するとそこには『モザリサワソデル』と書かれていた。私は博士がどういう暗号を作ったのか知っているから分かるが、初見だと分からないかもしれない。
「『モザリサワソデル』。これだけじゃワケがわかんねーけど…大体この手の暗号は、前か後ろに文字を一つずつズラして書いてある場合が多いんだ!」
『モザリサワソデル』を一つずつズラすと、『ヤジルシヲタドレ』。即ち矢印を辿れ、になる。
それに気が付いた子供達は矢印を探そう、と部屋の中を探そうと走り出す。そんな彼らをコナン君は慌てて止めた。
「この部屋に入った時、特に目に付いた矢印があっただろ?」
そんなのない、と言う子供たちにコナン君は部屋の中央にある掛け時計を指差した。
時計の針は長針も短針も綺麗に6を指している。あぁ、なるほどね。
「普通時計は6時半になれば長針と短針がズレるはずだろ?それが重なってるってことは」
「誰かが故意に針を動かした。ってことだよね」
「そう。宝を隠した誰かがね…」
博士をチラリと見たコナン君に博士は少し恥ずかしそうに咳ばらいをした。
時計の針を出発点にすると、矢印が指しているのは時計の下の棚の上に散らばっているトランプの山。スペードのエースだけが画鋲で止めてあるところを見るに、このエースが矢印の役割を果たしているのだろう。なるほど、子供にもわかりやすいように作られている。やっぱり博士はエンターテイナーだなぁ。
「じゃー次はあのチェスの駒ですね!!」
エースが指し示す先には背の低い戸棚の上に載っているチェス盤がある。なんかこの部屋、全体的に背の低い棚が多いな。全員が難なくトランプもチェス盤も覘けてるし。…ってそんなことどうでもいいか。
「おーい、さくら。何してんだよ。次の部屋いこーぜ」
「あ、うん」
コナン君の声がした方向を振り返り、皆の後を追う。
「ぼーっとしてんなよ、さくら」
小学一年生に怒られる女子高生とは。小嶋君はまったくしょうがねーな、と言わんばかりにため息を吐いているし、円谷君の視線も心なしか冷たい気がする。
「さくらちゃん、私と手つなご!そしたらはぐれないでしょ!」
ニコニコと笑っている吉田さんはとても可愛らしい。うん、でも何だろう。凄く複雑だ。迷子になるとでも思われているのだろうか。蘭ならともかく、私は迷子になったことなんて一度もない。昔から勘は良い方だしね。
だがここで断るのも大人気ないので、吉田さんの手をふんわりと握った。吉田さんはじっと繋がれた左手を見ている。きっと、私の手の固さにびっくりしてるんだろうな。
「吉田さん、行こうか」
「う、うん」
きゅっと握り返してくれた吉田さんの手の温かさが少し嬉しかった。優しい子だ。
チェス盤の矢印が指していた先は、先ほどまでいた部屋の向かいにある寝室だった。さてここからは私のターンだ。この暗号ゲーム、実は私も謎を考えて施したのだ。自分の作った謎を解いてもらえると思うと少し楽しみだ。
「あれ?矢印なんてどこにもねーじゃねーか!!」
小嶋君の言葉にコナン君はフフフ、という笑いを零した。コナン君楽しそうだなぁ。
「ここが宝を隠した人物が一番頭をひねった所だよ!」
ん??この部屋の矢印は机の上に載っている飛行機だ。今までのと大差ない子供でも分かりやすい暗号のはずなんだけど。どうやら飛行機が落ちてしまっていたらしい。飛行機が乗っていた後から飛行機の矢印を見抜くとは、思わぬ形で難易度の高い暗号になってしまっていたらしい。
「いつの間に落っこちちゃったんだろうね」
「うむ…。まぁ良い。次はさくら君の暗号じゃろう??新一君はさくら君の暗号を解けるかのぅ…」
「解けるよ」
博士にそう言ってから、ベッドの下からズルズルと箱を出す三人の後ろに立って、箱を覗き込む。
…え??
私が驚いている間に三人は木箱の蓋を開けて、中を覗き込んだ。その中に入っていたのは、ナイフでズタズタにされた玩具たちだった。