Case2
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「おぉ、さくら君!!丁度良いところに来たのぉ!!」
阿笠邸へやって来た私を、博士は嬉々として招き入れた。どうしてそんなにご機嫌なのかと首をかしげていると、博士は嬉しそうに自身の『計画』について喋り始めた。
どうやらコナン君とよく一緒に行動している子ども達(少年探偵団を自称しているらしい)の為に、宝探しを企画しているようだ。阿笠博士自らが謎を考え、それをコナン君達に解かせようとしていう考えらしい。
…その計画、確実にコナン君にはバレるんじゃ…。
「どうじゃワシの計画は!?ワシの謎には新一君もきっと手こずるぞ!」と嬉しそうに話す博士にそんな事が言えるはずもなく、私はにっこりと笑う。
「凄く良いと思うよ」
確実に博士の計画に付き合わされるであろうコナン君に、内心でごめんねと謝る。
あんなキラキラ目をした博士を止めるなんて酷なこと、私にはできないんだ…。
「できればさくら君にも一緒にその謎を考えて欲しいのじゃが…」
「それは構わないけれど…。私、そういうのを考えるのはそんなに得意じゃないよ?優作先生に聞いたりした方が良いんじゃない?」
博士は間髪を入れず首を横に振った。
「ダメじゃ!!優作君が作った謎じゃと子ども達には難しすぎる!!新一君しか解けんじゃろう!」
新一君は優作先生が作った謎を、小学一年生の時に解いてたけどなぁ。まぁでも新一君は当時から推理オタクだったし、頭も飛び抜けて良かったから、あまり参考にはならないか。
そういえばあの時に優作先生が作った謎を、全部解いたんだっけ?怪人二十面相の登場に全部持って行かれて、あやふやになった気がする。
「そういえば、さくら君、今日はどうしたんじゃ?」
あーだこーだと話し合っていると、不意に博士が尋ねてきた。あ、すっかり今日来た目的を忘れていた。
「なんか最近携帯のバッテリーの減りが早くて…。博士に見て貰えないかなって思ったの」
「ほぉ、ちょっと見せとくれ」
手を伸ばしてきた博士に、カバンから携帯を取り出して手渡す。博士がスワイプするとすぐに開いたそれに、博士は困ったように眉を下げた。
「さくら君…君はまだロックをかけとらんのか」
「一々入力するの、面倒なんだもの」
「もし君が携帯を落としたら、個人情報筒抜けじゃぞ!君の身を守るためにも、必ずロックはかけるんじゃ!」
尤もな博士の言葉に言葉を詰まらせる。確かに博士の言う通りだ。もしかしたら私だけじゃなくて、蘭や園子、新一君達の情報も流れてしまうかもしれない。それは凄く困る。
「博士の言う通りだね。確かに迂闊な行動だった…」
落ち込む私に博士は柔らかく笑った。分かれば良いんじゃ、という博士は本当に優しい良い人だ。私の事を本当に心配してくれている事が伝わってくる。
博士が私の携帯を操作し始めたので、横からその様子をのぞき見る。博士はちゃかちゃかと手際よく動かしているが、どうやってそのページに移動したのかさっぱり分からない。やはり私に機械関係のことは向いていないようだ。
私は謎づくりに精を出すことにしよう。
「さくら君、君のこの携帯は誰から貰ったものじゃ?」
「お兄ちゃんから貰ったものだよ」
驚いた顔をする博士に、どうして?と尋ねる。博士はうーむ、と考え込んだ。
「博士?」
もう一度尋ねると、博士は緩やかに笑った後で何でも無いから気にせんでくれ、と言った。本当にどうしたんだろう?
「バッテリーの減りが早いのは、君の携帯が古いからじゃ」
「確かにもう4年前の携帯だもんね」
「本当に大切に使ってきたんじゃな」
うん、と頷く。これはお兄ちゃんからの最後の贈り物だから。
言葉にはしないで胸の中にひっそりと留めておく。
「画面を暗くしたり、使わんアプリを消したりすることで多少は改善されるはずじゃ。こまめに充電をしすぎると電池が劣化するから気を付けるんじゃぞ」
「うん」
「じゃがかなり寿命は近いじゃろう。新しい携帯に代えることをオススメするぞ」
そっか、と呟いて博士が差し出してきた携帯を受け取る。大切に使ってきたが、やはり画面には細かい傷がついてしまっている。裏にひっくり返してみる。やはりかなり傷が目立つな…。まるで高いところから落としたみたいな傷があるし、右下なんか歪な形の…。
自然にできたとは思えない傷に、目を見開く。
「おーい、さくら君?どうしたのじゃ?」
「あ、ううん。何でも無いよ」
博士に首を振って見せた後でもう一度その傷に目を落とす。…まさかね。
少しだけ笑った後で携帯をポケットの中に仕舞った。
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