Case1
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コナン君の激しい鼓動が聞こえてくる。蘭と一緒に何度も呼びかけるが、コナン君は目を見開いたまま固まっている。
「コナン君!!」
私がそう叫んだ時、玄関のチャイムが鳴る音が聞こえた。それにピクリと反応した蘭は勢いよく駆け出した。
「きっとお医者さんよ!!さくら、コナン君をお願い!すぐに呼んでくるから!!」
蘭の言葉に力強く頷いてコナン君に向き直る。コナン君は汗をかきながら苦しそうな声を漏らす。
「新一君…!!」
思わず叫んだ私に呼応するように、新一君はうわぁぁぁぁ、と苦しそうな声を上げた。その時、手の中にあったコナン君の手が急速に変わってくのを感じた。驚いてコナン君の手を見る。するとそれはコナン君の手ではなくなっていた。誰よりも安心できる、私よりもずっと大きな優しい手。
「新一君…??」
あぁ、もう。折角泣かないようにしてたのに。視界が涙で歪んでよく見えないよ。
「バーロー、なに泣いてんだよ」
「泣きたくもなるよ…!」
帰ってきた。新一君が、帰ってきた…!!ポンポンと不器用に私の頭を撫でる新一君に安心してしまう。涙を見られないように下を向いていると、新一君が耳に口を寄せてきた。
「着替えるからそのまま下向いてろ。見んじゃねーよ」
「見ないよ」
慌てて新一君に背中を向ける私に、新一君は薄く笑い声を漏らした。笑わなくても良いのに。衣擦れの音に何となく居心地が悪くなって、身じろぎをする。なんか恥ずかしい。
「もう良いぜ」
振り返ると、そこには貴善さんのスーツに身を包んだ新一君がいた。最近はずっとコナン君に見上げられる事が多かったから、私がこうして見上げなくてはいけないのがなんだか懐かしい。まぁ、私と新一君とじゃ20㎝くらいの差があるから当然なんだけど。新一君はふい、と私から視線を逸らす。耳が赤いけど…もしかして更に熱上がっちゃったのかも。
とりあえず、このままここにいるのはマズいよね。蘭にバレちゃうかもしれないし。新一君はやっぱりまだ辛そうだし。
「新一君、早くここから出よう」
しかし新一君は少し苦しそうな咳をした後で、首を横に振った。新一君は、探偵の顔をしていた。
「いや、俺は事件を解決しなきゃならねぇ」
「え、でも服部君が犯人が分かったって言ってたよ」
「いや、アイツの推理は間違ってる」
驚いて目を丸くした私に、新一君はポン、と頭に手を置いてからよろよろと歩き出した。
「わりぃけど、蘭には上手く言っといてくれ」
新一君はそれだけ言うと、部屋から居なくなってしまった。蘭を誤魔化せ、と言われても困る。私にどうしろと。
なんて言い訳をしようか、頭の中でぐるぐると考えていると、バタバタと足音が聞こえてきた。2人分の足音が聞こえるから、蘭がお医者さんを連れてきてくれたのだろう。
バン、と勢いよく扉を開けた蘭は、コナン君がいないことに「へ?」という声を漏らした。蘭は一度瞬きをした後に勢いよく私に詰め寄ってきた。
「コナン君は!?」
「コナン君は、ちょっとお手洗いに…」
「うそでしょ!?」
蘭はそう言うと勢いよく部屋から出て行った。きっとコナン君を探しに行ったのだろう。取り残されたお医者様は、どうすればいいのか分からずに戸惑っている。そりゃそうだ、急いできてみれば患者はいないし、放置されるし。困りもするわ。
かくいう私も新一君からのミッションを終えた今、どうすればいいかわからない。取り合えず、新一君の容態をお医者様に伝えておこうかな。