Case1
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書斎の全ての窓には内側から鍵が掛かっていたらしい。そのため外部犯の線はなくなったという事になる。しかし合鍵を持っているのは君江さん以外に辻村さんだけ。しかし唯一の合鍵は、辻村さんのズボンのポケットに鍵が入っていた。つまり、これは密室殺人という事になる。
うーん、どうして犯人は部屋を密室にしなければいけなかったのだろうか。
全員に目暮警部がアリバイを聞いていく。執事の小池さんは死亡推定時刻の3時30分~4時の間はずっと近所の人と話をしていたらしい。そして貴善さんと幸子さんが来たのが4時前。小池さんがやってきた私たちを出迎えている間に書斎を訪れた。しかし鍵が掛かっていたために中に入ることがっできずに1階に降りてきて、私たちに挨拶をする。辻村さんのお父さんの利光さんは死亡推定時刻にはずっと部屋でテレビを見ていたらしい。
状況的に見て、一番怪しいのは利光さんだろう。アリバイがないのも利光さんだけだから。でも、もし利光さんが犯人だとすれば密室にする意味がない。どちらかというと、死亡推定時刻を大幅に変えるとかの方が自身のアリバイを証明しやすい。だから、利光さんはきっと犯人ではないだろう。
次に怪しいのは小池さん。小池さんは利光さんとは逆にアリバイがある。だからこそ自らの無実を証明できる。小池さんが犯人だとすれば、彼もまた密室にする意味はない。なぜならアリバイがもうすでにあるのだから。密室にすることで小池さんに有利に働くことは何もない。
貴善さんと幸子さんが犯人である可能性はほぼないだろう。二人がやってきたのは私たちがやってくるすぐ前らしいし、仮にその時はドアが開いていたとしても、ドアが開いた瞬間に家中に書斎で流れていたオペラが聞こえてしまうだろう。つまりドアを開けたのがばれてしまう。
最後に君江さん。私は彼女が怪しいと思っている。それは唯一、君江さんだけが密室にすることでメリットがあるからだ。君江さんがただ辻村さんを殺害したかっただけだとすれば、密室にする意味は何もない。でも誰かに罪をかぶせたかったのだとすれば、話は変わってくる。犯行時刻、鍵を持っていたのは君江さんだけ。つまり犯人が密室にするためにつかったのは、辻村さんの鍵だと考えるのが妥当だ。君江さんは自身の容疑を払拭して、かつほかの人に罪を擦り付けられる。その対象は恐らく利光さん。わざわざ君江さんが利光さんを呼んだのだ。
これは全て予想に過ぎないし、証拠もない。でも私の勘は間違いなく君江さんが犯人だと言っている。うまくは言えないが、君江さんは悲しい人なのだ。心に深い悲しみを背負っている。私のお母さんと同じ雰囲気を纏ってるから、分かる。
「警部!被害者の持っていた鍵に妙なものが!!」
目暮警部の言葉を聞くに、どうやらセロハンテープが貼られていたらしい。それがどういう意味を持つのかは全く分からないが、恐らく密室トリックの一環なのだろう。
「僕にも見せて!!」
辻村さんの鍵を見ようとするコナン君に、蘭がダメという。服部君の邪魔をしちゃダメでしょ、という蘭に思わず苦笑いする。蘭は完全に服部君と新一君を重ねて見ているらしい。
ドックン
コナン君から大きな鼓動が聞こえた気がした。驚きながらコナン君を見ると、コナン君は苦しそうに心臓を押さえている。汗もすごいし息も荒い。どう見ても大丈夫じゃない。
これはもうダメだ。事件は服部君に任せて、すぐにでもコナン君を寝かせないと…!!
倒れそうになったコナン君を慌てて抱き留める。皆は驚いた眼でコナン君を見ていた。
「ごめんなさい、どなたかベッドを貸していただけませんか」
私の言葉に貴善さんが俺のを使え、と言ってくれた。貴善さんの言葉に従ってコナン君を貴善さんの寝室まで運ぶ。部屋を出るときに、服部君が事件の真相が分かった、と皆の前で言っているのが聞こえた。事件の方は大丈夫そうだ。服部君が解決してくれる。
蘭と一緒にコナン君に呼びかけるが、コナン君はもう呼びかけに反応することすらできない。コナン君をベッドに寝かせる。
「大丈夫よ、コナン君…。もうすぐお医者さん、来るからね!」
コナン君は本当にしんどそうだ。あぁ、コナン君が無茶をする人だって知っていたのに。コナン君が体調悪いのだって気が付いていたのに。なんでコナン君がこんなになってしまうまで、放置してしまったのだろう。
本当に私、何やってるんだろう。何が頼ってね、だ。こんなんでコナン君が頼れるわけないだろう。
何もできない自分が悔しい。
咳き込むコナン君の手をぎゅっと握る。
「もうちょっとだけ頑張って…!!」
コナン君は朦朧とした瞳で私を見ながらも、手をぎゅっと握り返してくれた。その手は凄く熱くて、なんだか泣きそうになってしまった。