Case1
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やはりというべきか、やってきたのは目暮警部だった。最近やたらと殺人事件に遭遇するせいで、もうすっかり顔なじみになってしまった。何だか嬉しくない知り合いの増え方をしている気がしてならない。
目暮警部も小五郎さんが居合わせている事にあきれ顔をしている。まぁ、そんな顔になるのも分からなくはないけど。
「で?今日も殺しかね、名探偵君?」
目暮警部の言葉に小五郎さんは目立った外傷もないから自然死じゃないかと言う。するとコナン君が困り顔で口を挟んできた。
「違うよ、おじさん!!よーく見てよ、あの死体!あれきっと…」
「毒殺や!!」
コナン君の言葉に答えたのは、小五郎さんではなく服部君だった。服部君は死体を見下ろしながら言葉を紡ぐ。服部君曰く、辻村さんの髪の生え際に小さな赤い点が残っていて、死体の傍に凶器と思われる針落ちているのだとか。服部君は証拠を元に、一つ一つ可能性を潰していく。
「つまり俺らがこの書斎に入る前の三十分以内に誰かに殺されたっちゅうことや!!この家の近くにおった誰かにな!!」
目暮警部はすぐに鑑識さんに服部君の言ったことが正しいか尋ねる。鑑識さんの正しい、という言葉に目暮警部は物凄く怪しそうな目で服部君を見る。あ、懐かしい。初めて新一君が目暮警部と一緒に捜査に臨んだ時も、警部はあんな目をしてたな…。
目暮警部が何者なんだ、と訝しむ。すると小五郎さんが冷や汗をかきながら答える。小五郎さんは目暮警部に強く出れないらしい。
「服部平次っていう、生意気なガキ探偵ですよ…」
小五郎さんの言葉に目暮警部はパッと顔を明るくした。
「おお、君か!!大阪府本部長、服部平蔵さんの息子さんというのは!!」
目暮警部の言葉に服部君は複雑そうな、というか若干嫌そうな顔をしている。なんか服部君って…。
「新一に似てるね」
思っている事が口に出ていたかと思ったが、そうではなく蘭が私に向かって言った言葉だったらしい。私は服部君の方を見ながらそうだね、と頷いた。きっと服部君も父親に負けまいと対抗心を燃やしているのだろう。親が優れた人物だと、子供は何かと比べられやすい。本人の努力で獲得した形質も、その親の遺伝と思われてしまう部分も大きい。新一君もそれで悩んでいたこともあった。
まぁ新一君はそれを利用する強かな面もあったけど。
「へっくしょん!!」
ずび、と鼻水をすするコナン君。なんかさっきよりも風邪、悪化してない…??
「新一君、無理してるでしょ。お部屋借りて休んでたら?服部君なら変な事言わないように私が見張ってるから」
コナン君の耳元に口を寄せてそっと伝える。だがコナン君はげっそりとしながらも緩慢な動作で首を横に振った。
「アイツ鋭いからおっちゃんの言動で、いつもおっちゃんが推理してねぇって気が付くかもしれねぇだろ…」
うっ、と私は言葉を詰まらせる。実際に見たことはないが、コナン君の話を聞く限り、小五郎さんはかなりの迷探偵らしい。放っておくと頓珍漢な推理を披露してしまうらしい。うーん、確かに小五郎さんの迷推理を聞いた服部君が小五郎さんに疑問を持ってもおかしくない。今まで奇跡的にバレてはいないが(蘭にはバレかけたらしいが)、コナン君が毛利探偵事務所にやってきた時期と、眠りの小五郎が有名になった時期を考えれば、コナン君がキーパーソンだと推理することは難しくない。
本当、危ない橋を渡ってるなぁ…。
「さくら??」
じーっとコナン君を見つめていると、コナン君はキョトンとしながら見つめてきた。そんなちっちゃい体で、重たいものを背負って。私にできることなんかきっとない。でも。
「たまには私の事、頼ってね」
人に頼る事が苦手で、いつも一人で抱え込んでしまうから。新一君が背負っているものの欠片でも良い。新一君の役に立ちたい。
コナン君はプイ、とそっぽを向きながら何かを呟いた。何を言ってるのかは聞こえなかったが、コナン君の耳は真っ赤になっていた。
…ちょっとクサいこと言っちゃったかな??