Case1
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辿り着いた辻村さんのお宅は相当に大きかった。大きさだけなら新一くんのお宅と肩を並べるだろう。
「おい、もういいだろ。離せよ…」
「ん?あ、ごめんね」
ジト目で見てくるコナン君をゆっくりと地面に下す。辻村家まではタクシーで来たのだが、コナン君の分の席が無くて、私の膝の上にコナン君を乗せていたのだ。
「さあ、早く中へ…」
そう告げながらも、君江さん自身はもうドアを開けて中へ踏み入れていた。君江さんがせっかちな性格なのか、それとも何か急がなければいけない理由があるのか…。もしかしたらこの後何か予定でもあるのかもしれない。
中に足を踏み入れると、執事のような身なりをした人に出迎えられた。辻村さんの居場所を尋ねる君江さんに、執事さんは二階の書斎にいる、と答えた。
「あ、
笑顔で話しかけてきたのは、君江さんが小五郎さんに見せた写真の女性、桂木幸子さんだった。明るくて優しそうな面立ちだ。君江さんが疑うような人じゃなさそうだけどな…。
依頼内容をうっかり口を滑らせそうになった小五郎さんを、服部君がぱっと抑える。…小五郎さんよりも服部君の方がしっかりしてるよ。
「あ、あなたどうしてここへ?」
「俺が呼んだんだ。親父が幸子に会ってくれねーから、無理矢理押しかけさせたんだよ!!当の親父は書斎から出て来やしねーがな…」
幸子さんの代わりに言葉を紡いだのは辻村さんの息子の貴善さんだ。幸子さんの肩を抱いていて、いかにも仲が良さそうだった。
「あら、義母様のお知り合いの方ですか?」
興味深々と言った様子で尋ねてきた幸子さんに、君江さんはあなたには関係ないと一喝した。更には義母様なんて呼ばれる筋合いはないとまで言い放った。
…これが嫁、姑の争いというやつか。なんというか、とても怖い。君江さんが凄くピリピリしているというか…。
君江さんに連れられて階段を上る。小五郎さんの後について行こうと階段に足を掛けた時、貴善さんの忌々しいと言わんばかりの声が聞こえてきた。
「なんだよ、後妻が偉そーに…」
貴善さんの口ぶりからするに、君江さんと貴善さんの血は繋がっていないのだろう。それでもわざわざ小五郎さんを頼ってまで幸子さんの事を調べるんだ。きっと凄く貴善さんを大切に思っているんだろう。…良いなぁ。ちょっと羨ましいかも。
「あら、義父様…。おいでになられてたんですか?」
この人は確か辻村利光さん…だったはずだ。探偵事務所で君江さんがそう言っていたと思う。
利光さんはキョトンとした顔で君江さんを見た。
「なにを言っとるんだ、君江さん…。ワシが釣った魚の話が聞きたいと呼び出したのはあんたじゃないか!」
なかなかの大物じゃろ?なんて言いながら、利光さんはピラリと魚の絵(?)が描いてある絵を見せてきた。君江さんが急いでた理由って、まさかこれじゃないよね?話を聞くだけなら今日じゃなくてもできる。というか、わざわざ今日にする必要もない。
電話であらかじめ行くことを連絡していたわけじゃなさそうだから、もしかしてすぐにでも依頼しなきゃいけない理由があったとか?
…う~ん、わかんないな。
君江さんは最近利光さんが物忘れが酷いと言っていたから、もしかしたら利光さんが日にちを間違えた可能性もすてきれないけど。
書斎の前にたどり着いて、君江さんがドアを何度か叩くが辻村さんは出て来ない。微かに音楽がドアの隙間から漏れ聞こえているから、辻村さんがノックの音に気付いていないのかもしれない。
君江さんがカバンから取り出した合鍵で書斎のドアを開ける。中を覗いてみると、辻村さんはデスクに頬杖をついて眠っていた。ドアの外からでは分からなかったけど、流れているのはオペラだった。ちょっと音大きいな…。この音量でぐっすり眠れるなんてすごいなぁ。私だったら起きちゃう。なんて、思っていたけれど…。
「あ、あなた!?」
辻村さんは眠っていたんじゃなくて、死んでいたようだ。
どさり、と椅子から倒れ落ちた辻村さんを見て、ぎゅっと自分の手を握った。