Case1
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コナン君が『風邪に良く効く薬』を飲む音がやけに響いた。おそらくコナン君も服部君の自分の方が上だと言わんばかりの強気な態度に、思わず息を呑んでしまったのだと思う。私もそうだったから。
「れ?」
「こ、コナン君?」
コナン君は顔を真っ赤にさせて体をふらふらとさせた。まるで酔っ払いみたいだ。妙に酒臭いし…酒臭い?
「これ、お酒だよね?」
「せや。
未成年に、しかも中身はどうあれ小学生にお酒を飲ませるとは…。彼は何を考えているのだ。未成年者飲酒禁止法に引っかかってしまう。だけどコナン君にお酒を飲ませた張本人である服部君は全く気にしていないようで、新一君に会えるまでお世話になるから、と勝手に話を進めながら小五郎さんにお酒を渡している。なんというか…とっても彼はマイペースらしい。
勝手に話を進めるな、と怒る蘭。だが蘭が最後まで言葉を言い終わる前に、コンコンとドアをノックする音が響いた。皆がその音につられて一斉に探偵事務所のドアの方を振り返った。
そこに立っていたのはいい身なりをしたご婦人だった。髪を一つにひっつめているせいか、眉間に皺を寄せているせいか、厳格そうに見える。
この人、苦手だ。本能的にそう感じた。なんか叱られそうな感じの雰囲気とか。
「何度呼び鈴を鳴らしたと思ってますの?この事務所はお客の接待もできていませんのね…。私、急いでますの、早くしてくださらない?」
ご婦人の言葉に小五郎さんは呆気にとられながらも要件を尋ねた。
「ご、ご用件は?」
ご婦人の名前は辻村君江さん。外交官、辻村勲さんの奥方らしい。なるほど、いかにも高そうなスーツやコート、どこかの良家の人間のような言葉遣いも外交官婦人ともなれば納得できる。むしろしっくりきすぎるくらいだ。
君江さんは息子さんの恋人の素行調査を依頼しに来たらしい。品行方正、秀外恵忠と非の打ちどころがないからこそ裏がありそうだとふんでいるらしい。服部君曰く粗探しをしたくなるのは人間の性なんだとか。
服部君が言ってることは一般論的に正しいとは思うが、それを本人の前でぶっちゃけてしまうのがすごいと思う。…うーん、私にはそんな事できそうにないなぁ…。
「とにかく!詳しい話は我が家においでになってから、主人を交えて…」
「こ、これから行くんですか?だったら最初からここに二人で来れば…」
小五郎さんの言葉に答えを出したのは服部君だった。君江さんはスキャンダルになるのを気にしているのだそうだ。うーん…。それって結局、最初から小五郎さんを電話とかで辻村さんのお宅まで呼んだ方が早いんじゃ…?
「よっしゃ!俺もついて行ったるで!!そのおっさんが一人で行くより、親子連れや思われた方が怪しまれずに済むやろ?」
「…そうね、お願いするわ!」
奥さん!?と驚く小五郎さんを他所に、君江さんはサングラスを掛けてさっさと探偵事務所を出ようとする。服部君の提案で結局みんなで行くことになってしまった。
服部君を新一君(コナン君)に会わせるという私の使命は終わった。でも恐らく服部君の見張りのためについて行こうとするコナン君が心配だ。なぜならコナン君は間違いなく無理しているから。今だって風邪の時の独特の呼吸音が聞こえてくるし。
「コナン君」
「な、なに?さくら姉ちゃ…っておい!?なにすんだよ!?」
私の声に振り向いたコナン君を抱き上げると、コナン君は暴れだした。コナン君の具合が悪くなってる事くらい私はお見通しだ。カナン君は恥ずかしいだろうが、そこはもう我慢してもらうしかない。
「離せ~!!」
「はいはい、大人しくしないと落とすよ」
二人って本当に仲良いよね…という蘭の生暖かい視線を感じながらも、そのまま探偵事務所を出る。コナン君はもうこれ以上なにを言っても無駄だと悟ったのか、赤くなりながらも黙り込んだ。
「なんや自分。さくらに抱いてもろて赤うなりよって…。やらしいやっちゃな~」
ケラケラと笑う服部君にコナン君の機嫌が急降下したのを感じた。服部君にはそろそろ黙ってて欲しい。
はぁ、とため息を吐いて、コナン君に負担が掛からないように注意を払いながら、コナン君を抱きしめなおした。