Case1
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まさか先生を殺害しようとしたのが高杉さんだったなんて…。しかもあの用意周到な計画から察するに前々から殺そうと考えていたはずだ。先生も高杉さんもさっき見たときはあんなに幸せそうだったのに…。
どうして、という思いがぬぐえない。
「ねぇ、さくら姉ちゃん…。ちょっと良い?」
高杉さんの動機を考えていると、下からコナン君の声が聞こえてきた。その言葉にハッとした私は、慌ててしゃがんでコナン君と目を合わせる。
「ごめん、考え事してた。なに?」
「犯人が分かった。だからオメェに探偵役を頼みてぇんだけど…良いか?」
コナン君の言葉に思わずうっ、と息を詰まらせる。自分の推理に自信が無いわけでは無いし、人前で話すのが苦手というわけでもない。だが、必然的に理路整然とした口調で話す新一君の姿が浮かんでしまったのだ。私はあんなに物事を論理的に話せる自信はない。それに分からないところもあるし、深くツッコまれて上手く交わせる自信も無い。
だが私が断るとなると、おそらく前にコナン君に麻酔針を使われた園子がターゲットになるだろう。博士の技術を信頼していないわけでは無いが、それでも危ないものは使わないに限る。
やはり私が引き受けるしか無いだろう。
「別に良いけど…。もし私が言葉に詰まっちゃったりしたら助けてね」
「あぁ、安心しろよ。そこは俺がちゃんと…」
コナン君は不自然に言葉を止めた。どうしたんだろう、と首をかしげていると、コナン君はポンと私の肩に手を置いた。
ちょっと待って。なんか痛いんだけど…。
小学生とは思えぬほどの力で私の肩を掴んでくるコナン君に痛い、と抗議するが、コナン君の耳には全く入っていないらしく、まじまじと私の顔を見ていた。
「オメェ…犯人分かったのか?」
「え、うん…」
「マジか…」
コナン君の表情から察するに、どうやらコナン君は私に犯人が分かったのがショックだったらしい。実際にダークホースかよ…、という言葉も聞こえたし。
別に心配しなくても私は新一君の探偵家業を奪ったりはしない。
意識をどこかに飛ばしているコナン君の前でパン、と手を叩くと漸くコナン君はハッとした。
「肩痛いから手、離して貰っても良い?」
コナン君は驚くほどの速さで手を引っ込めた。その速さに思わず驚いてポカンとする。コナン君は本物の小学生のようにえへへ、と笑った。
「コナン君、最近自分が高校生だって忘れてない…?」
「忘れてねぇよ!!それで…、えっと、アレだ。取り敢えず探偵役、引き受けてくれんだよな?」
「うん」
「サンキュー!まぁなんかあったらフォローしてやっからよ」
コナン君の言葉を頼もしく思いながらも、私は立ち上がって、目をつぶってから一度大きく深呼吸をした。
大丈夫、何かあってもコナン君が助け船を出してくれるから。先生のためにもできるだけ頑張ろう。
力強く決心した後でゆっくりと目を開けた。私の空気が変わったことに気がついたのか、皆が私を見ていた。
「皆さん聞いて下さい。犯人が分かりました。私の推理、聞いて頂けますか?」
自分の声が何処か遠くから聞こえたような気がした。