Case1
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ビデオを確認すると、毒を入れるところは写っていなかったが、誰がいつ先生に会いに行ったのか知ることができた。
私達がビデオを撮り始めたのが30分前。
一美さんが控え室に来たのが24~21分前。松元警視が17~14分前。梅宮先輩が10~8分前。私達が一度抜け出したのが7分前で戻ってきたのが2分前。高杉さんが4~1分前。
ビデオを見る限りでは、私、蘭、園子、コナン君以外の者は皆先生のレモンティーに触れている。つまり、私達以外はレモンティーに毒を入れるチャンスはあったというわけだ。
警部達は何度もビデオを見返しているが、何も分からないようで時間だけが過ぎていってしまう。先生が運ばれてからもうかなり時間が経っている。病院から連絡が着ても可笑しくは無い頃だが、一向に来る気配は見えない。
「ま、まさか先生、もう…」
「え、縁起でもない事言わないでよ…」
園子の言葉に私は何も言うことができなかった。先生が無事であることは祈っているが、運ばれてからかなり時間が経っているだけに園子と同じ事をつい考えてしまうのだ。
「でもひどいよね…。先生の大好きなレモンティーに、毒を入れるなんて…」
園子の言葉に頷く。レモンティーはただの先生の好物では無い。もっと大切なものなのだ。
あるとき、先生に聞いたことがあった。いつも嬉しそうに、優しい瞳でレモンティーを飲む先生に何か思い出でもあるのか、と。そしたら先生は綺麗に笑ったのだ。
『私ね、小さいころ虐められてたの。そしたら近所に住んでた駄菓子屋の男の子がいっつも助けてくれて。でね、その子がよく私にくれたの…。自分の店から取り出したあったかいレモンティーを…』
先生はその時頬を赤らめて笑っていた。先生は未だにきっとその男の子に恋し続けていたのだと思う。…恋し続けていた?
「警部!!鑑識の結果でました!!」
部屋に入ってきた警官の言葉にハッとする。一瞬何かが引っかかった気がしたが、一先ず警官の話を聞くのが先だと警官の言葉に耳を傾ける。
「まずカプセルですが…。これをあのレモンティーに入れたと仮定すると、溶けて中身が出るまでに15~16分ほどかかるものだそうです…」
その時間に先生に会っていたのは松元警視だ。一斉に皆が松元警視を見る。松元警視は冷や汗をかきながらもしっかりと反論した。
「おいおい、よく考えろ…。わかったのは16分前に毒が入れられたという事だけだ…。毒が溶けてすぐ、小百合が飲んだわけじゃあるまいし…」
先生が倒れる10分前に会っていた梅宮さんと高杉さんの疑いは晴れることになる。だがその事が引っかかって仕方が無い。警視ともあろう人がこんなお粗末な殺人計画を立てるだろうか。事件にも精通している方なのだからカプセルの溶ける時間が特定されるのも織り込み済みで行動するはずだ。
さっきからそこが気になって仕方が無い。
「あのー…毒の入っていた缶のことで妙な点があるんですが…」
「妙な点?」
「つ、ついてないんですよ、警視の指紋がどこにも…」
その言葉に目を見張る。映像の中でも実際にも警視は先生のレモンティーに触れていた。そこで手袋などはしていなかった。
ではなぜついていないのか?あり得るとしたら警視が指紋を拭ったか、別の缶にすり替わっていたか…。
指紋を拭ったという可能性は低いと思う。映像でもそんなシーンはないし、実際にやっているところも見なかった。先生が倒れてからは缶に近付いてすら居ない。
もう一つの可能性の別の缶にすり替わった、という可能性は十分ある。先生だけでは無く園子もレモンティーを飲んでいたから。もしそうだと仮定すると、入れ替わった時間は私達三人が買い物に行ったときだろう。
取り敢えずもう一度、ビデオを確認してみよう。