Case1
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警察と救急車を呼んだ後で誰が付き添うかということで少し揉めたものの、コナン君の一言で花嫁控え室に入った人間は皆その場に残ることになった。先生は今、非常に危険な状態にある。悲しいことにまだ生きている、という言い方が正しいのが現状だろう。
何者かが先生を苛性ソーダで毒殺されそうになったと鑑識の見分によって判明した今、疑いの目が最後に先生の部屋をおとずれた高杉さんに向いてしまっていた。
でもコナン君の一言で全員に容疑がかかることになった。
「あれ?レモンティーの中に何か浮いてるよ…」
「え?」
「ホラ…。ストローのそばに…」
鑑識さんはピンセットで何か白っぽいものをつまみ上げて、驚きの声を上げた。
「こ、これは…。カプセル!?」
ちらり、と容疑者候補の四人を見てみると、その言葉に全員の目が驚きで見開かれていた。目暮警部は鑑識さんからそのピンセットを受け取ると納得した声を上げた。
「そうか、犯人はこのカプセルのなかに苛性ソーダを入れ、レモンティーに放り込んだんだ…。そうすれば毒が溶け出すまでに時間がかかり、犯行時間が特定できなくなる…。つまり、花嫁の部屋に出入りした君達七人なら、誰でも花嫁のレモンティーに毒を入れることができるというわけだ!!!」
私は警部のその言葉に違和感を覚えた。『毒をカプセルに入れたことによって毒が溶け出すまでに時間がかかり、犯行時間が特定できなくなる』。つまりそれはカプセルが溶けるまでの時間さえ分かれば犯人が分かってしまうということだ。
普通、誰しも自分が犯人だとバレたくはない。それならこんな犯人が特定されてしまいそうな方法をとるとは考えにくい。だとすればこのカプセルは犯人の『罠』のような気がするのだ。
考えすぎ、だろうか?
「あの…。僕もまだ容疑者なんですか?」
高杉さんが恐る恐る警部に話し掛けたことで思考の海から引き上げられる。私にはコナン君みたいにトリックを見破ったりすることはできないが、観察力にはそれなりに自信がある。先生に付き添えない今、私に精一杯できることをしなきゃ。
私は目暮警部の言葉に耳を傾けた。
「もちろんだ!!お湯なら1分足らずで溶けてしまうカプセルもあるからな…。そう…カプセルの一部がまだ残っていたのは紅茶がこぼれて冷めてしまい、溶ける速度が落ちたから…。犯人はそれを計算に入れていなかったんだよ…。
よーしカプセルを鑑識にまわせ!!」
鑑識さんに指示を出す目暮警部にコナン君はねぇ、と話し掛けた。
「この人は数に入らないの?このオジサンだって、花嫁さんの部屋に来たと思うけど…」
まさか自分の娘を、と苦笑いをする目暮警部に警視は「ワシも容疑者の一人に変わりはない」とはっきりと告げた。
「だが目暮、どーやって犯人を割り出す?」
目暮警部は冷や汗を流して笑いながら答える。その様子が目暮警部にヘコヘコしている蘭のお父さんと少し似ていて思わず苦笑いが漏れた。元ではあるけど、上司と部下って似るものだなぁ…。
「犯人が毒を入れるところを誰か見ていれば良いんですか…」
その言葉に私はあるものの存在を思いだした。
「ビデオ…」
「え?」
目を見開いた目暮警部に蘭と園子はあっ、と言う声を上げた。
「そーいえば私達、ビデオ撮ってました!」
「そっかー、置きっ放しで、この部屋出てきちゃったっけ?」
「なに!?」
まさかこんなところでこのビデオが役立つとは思わなかった。これが犯人逮捕への一歩になってほしい。
「よし!今すぐビデオデッキとモニターを用意しろ!!」
これで犯人が分かったとしても、どちらにせよ犯人は先生の近しい人ばかりだ。先生は犯人が逮捕されることに何よりも悲しむだろうな、なんてことを考えてしまった。先生が悲しんでいる顔は見たくない。
だからこそこんな事を引き起こした犯人が許せなかった。