Case1
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私達が一美さんが買ってきてくれたお茶を飲み始めたときにやって来たのは左目に大きな傷を負った大柄の男性だった。筋肉質なその巨体、それから目つきの鋭さにいかにも刑事といった雰囲気の人だな、と思った。だがギロリと松元先生を睨む男性を見て蘭と園子は警戒したらしく、先生の前に出て庇うように立っていた。
「な 何ですか。あなた、いきなり!!」
「蘭、やっつけちゃってよ。こんなゴリラ!!」
慌てる先生に気がついていない蘭達の肩に手を置いて落ち着かせる。
「まぁまぁ、二人とも落ち着いて…」
「さくら…」
眉毛を下げる蘭に私は男性の後ろから出る人物を見るように言う。
「あれ?蘭君じゃないか!」
「め、目暮警部。どうしてここに?」
いつもとは違った黒いスーツに身を包む目暮警部。だがいつも通りシャッポは欠かせないらしい。
蘭の質問に目暮警部は少し照れたように答えた。
「上司のお嬢さんの結婚式に出席せん部下がどこにおる?ねぇ警視…」
どうやらこの男性は先生のお父様だったようだ。その事実に私達は驚く。たしかに先生と松元警視はお世辞にも似てるとは言えないので、二人の反応も分からなくは無い。慌てて謝る二人に先生は気にしないようにと明るく笑った。
先生が蘭の名前を呼んだことで警視は蘭が小五郎さんの娘だと分かったらしく、少し嬉しそうな顔をしていた。どうやら警視は自身の部下だった小五郎さんが今活躍していることに誇りを持っているようだった。
小五郎さんを有能な人物、と褒める警視に蘭と一緒になってコナン君も照れていた。
コナン君は煽てに弱く、すぐに表情が出てしまう。そういうところが心配なんだよなぁ、と心の中でため息を吐いた。
「ところで小百合…本当に良いのか?あの男で…。か、考え直すんなら今からでも遅くないぞ!!あんな金持ちのボンボンやめておけ!!
なんならワシの課にいる、もっと骨のある若いのを…」
「この期に及んで何言ってんのよ!?それに父さんいったじゃない、私が選んだ人なら誰でも許すって!!」
先生の剣幕に警視は押されたようにそうか…、と呟いた。どうやら警視は先生の旦那さんのことをあまり良く思っていないらしい。頷いたものの、些か納得していない様子だった。
「もー、いつまで経っても子供扱いね!」
「フン…子供だよ…。いつまでもこんな甘い物飲みおって…」
「いーじゃない、好きなんだから…」
先生は警視からレモンティーを奪い取ってふて腐れる。娘の花嫁姿に何も言わないことが不満なようだ。
「ああ…綺麗になったよ…死んだかーさんには負けるがな…」
「全く、素直に褒めないんだから…」
先生はぶつぶつと文句を言いながらレモンティーを口に含んだ。
「あっ、そういえば朝倉さん、高校でも剣道続けてるの?」
突然私に振られた話題に驚きながらも頷く。
「は、はい…。帝丹高校でも剣道部に所属してます!」
「まぁそうよね。朝倉さん剣道強かったし」
先生の言葉に蘭が興奮したように声を上げる。
「全国大会行ったもんね!!」
「アンタ最近段取ったんじゃなかった?」
園子の言葉に私は春先のことを思いだす。剣道は一定の年数修行をしないと段が取れない仕組みになっている。実技試験の他に課される型の試験のための稽古が大変だったことを思いだしながらしみじみと頷いた。
「三段とったよ」
「へー!!凄いじゃん!」
自分のことのように喜ぶ先生に私は気恥ずかしくなって少しだけ笑った。園子ははぁ、と大袈裟にため息を吐いた。
「私の親友達はなんでこんな脳筋ばっかりなんだろ」
「の、脳筋って…」
園子の言葉に頬を引き攣らせる。確かに私も蘭も武術の心得はあるが、脳筋では無いと思う。だがコナン君に違うよね?と確認を取ったところ、誤魔化すように曖昧に笑われたのでもしかしたら本当に脳筋なのかもしれない。