Case1
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私達は松本先生のウェディングドレス姿を見るために花嫁の控室に来ていた。
「あら、毛利さん、鈴木さんに朝倉さん…」
繊細なレースがあしらわれたスレンダーラインのウェディングドレスに身を包んだ松本先生は今までで一番綺麗だった。元々美しい人ではあったけれど、今日はいつもの比ではない。優しげなその顔立ちに幸せを詰め込んだような笑みを浮かべる先生があまりに美しくて、思わず赤面してしまった。
「どう?似合う?」
「と、とっても綺麗です!!先生!!」
蘭や園子と声を揃える。私達の言葉に先生はまた嬉しそうに笑った。チラリとコナン君を見ると、先生を見て赤面している。
「ね、言ったとおりでしょ?」
コナン君にそう耳打ちすると、うっせ、と返されてしまった。先生の準備の手伝いをしていた女性達が部屋を出て行った後で、新一君の話に移る。
「なーんだ、工藤君来れないのか…。あの生意気な小僧にも、このドレス姿見せびらかしたかったのに…」
そう言いながらチッと舌打ちをする先生にフフッと笑う。
「新一君、絶対に先生の姿を見たら赤面しますよ。ね、コナン君?」
「は、はぁ!?んなわけねーだろ!!」
コナン君は私に話し掛けられて慌てて首を振る。先生はそんなコナン君を見て不思議そうな顔をした。
「そのぼうやは…?」
「うちで預かっている江戸川コナン君です!!」
「はじめまして…」
蘭の紹介にコナン君は冷や汗をかきながら曖昧な笑顔を浮かべて先生を見つめる。先生はコナン君をジッと見つめながら顔を近付けた。
「あら?ボウヤどっかで会ったことない?」
「は、はじめまして!!」
その言葉に私もコナン君も焦る。先生の新一君感知センサーは凄いと思う。小さい頃からずっと一緒に居た蘭でさえ気がつかなかったのに、一目見ただけで既視感を感じたのだ。
「ハーイ、二人ともこっち見てー!!」
「今日は私達、ビデオ係でーす!!」
「キスシーンもバッチリ決めて下さいよ!!」
「まかせなさい!!」
私はカメラを回す蘭に先生が気を取られている隙にさり気なくコナン君を私の後ろに隠す。まさか先生がコナン君=新一君と気付くとは思っていないが、用心するに越したことは無い。下手にバレて幸せの絶頂期の花嫁を危ない出来事に巻き込むわけにもいかない。
「あれ?そーいえばありませんね…」
「え?何が?」
「ホラ、いつも先生飲んでたじゃないですか…」
蘭の言葉に私は漸く合点がいった。授業中にもよく飲んでいた、先生のトレードマークとも言えるあの飲み物。
「そーなのよ!私、アレがないと落ち着かなくて…」
先生がそう言うと同時に控え室のドアが開いて黒いドレスに身を包んだ金髪の女性が入ってきた。
「小百合、買ってきたわよ!あったかーいレモンティー!!」
軽く袋を掲げながらにこやかに笑う女性に先生は嬉しそうに駆け寄った。
「わー、サンキュー!一美!」
プルタブを外してそのまま飲もうとする先生に一美さんは慌てる。口紅が取れるから、と袋を漁りながらストローを取り出したり何やかんやとまるでお姉さんのように世話を焼く一美さん。
先生の意外な一面を知って私は少し驚いた。先生は少し厳しいけれど、頼りになる大人な女性だった。だが意外と少女のような無邪気さも持っていたらしい。
世話が焼けるんだから、と困ったように笑う一美さんに先生はレモンティーを飲みながら僅かに顔を伏せた。
「ホントにゴメンね…」
「え?」
「俊彦さんのこと…」
一美さんは一瞬言葉を詰まらせた後でカラッと笑った。
「なーに言ってんのよ今更!覚悟しなさいよ!披露宴で新郎が、私の昔の彼だったって事、ばらしちゃうから!!」
「え?」
一美さんの言葉が意外すぎて思わず固まってしまう。この式は一美さんにとっては辛いものなのかも知れない…。そんな考えが少し過ぎった。
「なんて冗談よ、冗談!!」
もー、と呆れたような少し困ったような言葉を漏らす先生に一美さんは後でね、と言う言葉を残して立ち去って行った。
「誰ですか、今の…」
「大学の時の悪友よ…。あら、一美ったらメイクさんの分まで、買って来ちゃったみたい…。良かったらあなた達も飲まない?」
「じゃー私もレモンティー!!」
「私はコーヒー!」
「コナン君どっちが良い?」
残ったウーロン茶と緑茶を出しながら尋ねると、ウーロン茶と答えたのでそれを渡し、私は緑茶を飲むことにした。