Case1
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今日は中学の時の担任だった松本小百合先生の結婚式だ。教会で開かれる大規模な結婚式に少し萎縮してしまっていたが、私の隣で蘭を待つ園子は堂々としていた。やはり鈴木財閥のお嬢様らしく、こういったパーティーには慣れている。柄にもなくそわそわしていた私の背中を叩いて「シャキッとしなさいよ」と言う園子はとても頼りになる。
「うーん、蘭遅いね」
「ほんと。何してんだか…」
呆れたように園子が呟く。基本待たされるのが嫌いな園子は少し機嫌が悪くなっている。でも私は蘭が遅れるのは仕方が無いと思う。
ここは米花町内にある教会では無いので、初めて来るところなのだ。極度な方向音痴の蘭が迷うのも無理はない。こんなことなら一緒に来れば良かったなぁ、と少し後悔した。
「おっ、鈴木に朝倉!」
「あ、立花じゃん」
「鈴木ー!!彼氏はできたかー?」
「うるっさいわね!!ほっときなさいよ馬鹿!!」
「あれ、さくら工藤君と一緒じゃ無いの?」
「違うよ、新一君今忙しいし」
さくら達はそのまま市内の帝丹高校に進学したが、やはり別の学校に進学した生徒もそれなりに多く、ちょっとした同窓会気分だ。中学を卒業したのはたった一年前の出来事なのに、ひどく懐かしく感じる。それは最近の出来事がやけに濃いからそう感じるのかもしれない。
「あっ、園子ー!さくらー!!」
左手を勢い良く振りながら急いでこちらに駆けよって来る蘭。軽く息切れしているところを見るに、迷いながらも急いでやって来たのだろう。
「ごめーん、待った?」
「まーったく、毎度毎度遅れてくるんだから…」
「仕方ないよ、蘭の方向音痴は筋金入りだし」
私が何気なく放ったその一言は蘭には効果絶大だったようで、うう、と蘭は肩を落とした。しかしこれは事実なので慰めようが無い。いつも己の直感に任せて進むからこうなるんだ、と口を酸っぱくして言い聞かせているが蘭の方向音痴が治る様子は一向に見えない。
違う高校に進学した元同級生に蘭は「同窓会みたい」と私と同じ感想を抱いていた。その事が面白くてくすりと笑う。
「あ、そういえばアイツは?」
「え?」
「ホラ、先生の音楽の時間によく音程外して怒られてたアイツよ!!」
園子の言葉に私は思わず吹き出す。園子の言う『アイツ』とは新一君のことだ。下から私を睨み付けてくる視線には気がつかないフリをしながら私は笑いをかみ殺した。
「ああ…新一なら『んなもん誰が行くか』って…」
「で?あの音痴のかわりに、その子連れて来たってわけ?」
「うん!どーしても来たいって言うから…」
蘭に背中を押されるコナン君は音痴と言われて恥ずかしかったのか顔が赤くなっている。
「新一君、来ないと思ってた」
こっそりと二人の耳に届かない小さな声でコナン君に話し掛けると、コナン君はフンと鼻で笑った。
「俺はただあのセンコーのダンナになる物好きな男の面を見たかっただけだよ…。くそっ、あのババア、三年間俺ばっか目の敵にしやがって…」
ぶつぶつと文句を言うコナン君に思わず笑ってしまう。やはり新一君の松本先生への印象はよく構われていたせいで悪いらしい。
「じゃあ残念だね、新一君。きっと松本先生を見たらそんな事言えなくなるよ」
「なんでだよ」
ジト目で私を見てくるコナン君に私は僅かに微笑んだ。
「今日は結婚式…女の人が生涯で一番美しくなる日なんだから!」
私の言葉にコナン君はキョトンとした後ではは、と笑った。コナン君は完全に呆れた顔をしている。
「オメー今日テンション高ぇな…。柄にもなくそわそわしてるし」
「…うるさいよ、コナン君」