Case1
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「優作先生と有希子さん…?」
部活を終えて家に帰ってきたとき、家の前で待っていたのは新一君のご両親だった。私が帰ってきたことに気がついた有希子さんはにっこりと笑いながら私に飛びついてきた。相変わらずとてつもなく美人で、ドキドキしてしまう。
「さっちゃん!!久しぶりね~!!一年ぶりくらいかしら?」
「はい。アメリカで会った以来ですね」
私のその言葉に有希子さんは悔しそうに顔を歪めた。
「あの時は優作にさっちゃん盗られちゃったから結局全然喋れなかったわね…」
ジトリ、と優作先生を睨む有希子さんに優作先生は愉快そうに目を細めた。
「さくら君は何かとモデルにしやくすてね」
「光栄です」
憧れの作家さんに褒められて嬉しくない人は居ない。私は優作先生の言葉が嬉しくてつい頬を緩めた。
「優作ずるいわ!!私だってさっちゃん独り占めしたい!」
悔しがる有希子さんに私は苦笑いをする。お二人に誘われて行ったアメリカ旅行で、つい優作先生の執筆風景を見たくて『優作先生の見張り』という名目で無理矢理ホテルに残ったのだ。勿論見に行くはずだったゴールデンアップルという舞台も楽しみだったが、それ以上にファン心が勝ってしまったのだ。
「ということで、明日…は多分無理ね。明後日、一緒にショッピングしましょーね♡」
「あっ、はい」
有希子さんにずい、と顔を近付けられて思わず頷いてしまう。有希子さんは私の返事に満足そうに笑った。
「で、さくら君。本題なのだが…」
優作先生の言葉にぎくりと体が強張るのを感じた。本題と言われて思い浮かぶのはただ一つ。新一君の事だ。
「は、はい。何でしょう」
ドキドキしながら優作先生を見返す。じーっと私を見ていた優作先生はふっ、と顔を和らげた。
「君の携帯を貸してくれないか?一日だけで良い。明後日には返そう」
「携帯…ですか?」
予想外の言葉に私は首をかしげる。何故携帯。てっきり新一君の事を聞かれると思っていたのに。
私は疑問に思いながらも携帯を鞄から取り出す。そしてその携帯を渡そうと優作さんの掌へ乗せようとして思いとどまった。
「すみません、一通だけメールさせて下さい」
「あぁ、構わないよ」
私は画面がお二人から見えないように気をつけながら新規メールを立ち上げる。宛先は勿論新一君。
『ご両親にはご注意を』
私は素早く文字を打ってメールを送った後でコナン君のアドレス、そして今までのやり取りを消す。多分これで新一君=コナン君とバレることは無いので大丈夫だろう。
私は携帯の電源を落とすと、それを優作先生に手渡した。
「はい、どうぞ。あまり弄くらないよう、よろしくお願いしますね」
私の言葉に優作先生と有希子さんは顔を見合わせた後でぷっ、と吹き出した。
「何、もしかしてもうバレちゃってるわけ?」
「おそらく新一君に何か悪戯的なことをするんだろうなって事くらいは。具体的に何をするのかは分かりませんけど」
「さくら君は慧眼の持ち主だな。いやはや、恐れ入ったよ」
「そうですか?結構分かりやすいと思いますけどね…」
今までのお二人の新一君に対するからかうような言動を見ていればすぐに分かるし、何なら二人のお茶目な性格を考慮すれば一瞬でこの結論にたどり着く。
「明後日、結果を教えて下さいね」
私の言葉にお二人はまた楽しそうに笑ったのだった。