Case1
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「新一君の彼女…?」
蘭にそう言われても思い浮かぶ人物はいない。そもそも新一君は今コナン君になっているのだから彼女など作れるはずもない。コナン君の姿でなら作れないこともないが、高校生の新一君が小学生と付き合ってるとなると新一君にロリコン疑惑が上がる。逆もまた然り。
「いや、うん。ないでしょ。有り得ないよ」
「そ、そうよねー」
蘭は私の言葉に気まずそうに笑った。
「というかどうしてそんな事を?」
何の脈絡もなくそんな話を振ってきた蘭に首をかしげると、蘭は苦笑いを浮かべながら話し始めた。
「昨日新一の彼女だって言う子が
「へぇ、そうなんだ」
蘭の様子から察するに蘭はそれに怒ったのだろう。大方私達の前に姿を現さないくせに、なに彼女を作って遊びほうけているんだとか勘違いし、彼女にもキツいことを言ってしまって反省している、といったところだろうか。
…新一君が蘭にフルボッコにされる日も遠くはないのかもしれない。高校生に戻れたとしてもその後が怖そうだ。
「ねぇさくら、新一に彼女が居ないって分かって安心した?」
「え?」
少し不安そうに顔を覗き込んでくる蘭に私は首をかしげる。どうして新一君に彼女が居ないと分かると安心するのだろうか。そもそも新一君に彼女ができる話と私は何の関係もないわけで。
「いや、別に何も思わないけど」
「…ふーん。あっそ」
私の言葉を聞いて複雑そうな顔をした蘭。蘭の言わんとしていることが全く分からない。もしかしたら新一君に彼女とか似合わないとかそういうことだろうか。いや、でもそれと私は何の関係も無い。
「あ、もしかして」
「…分かったの?」
「蘭はモテない私を心配してくれてるんでしょ」
「違うわよっ!!」
なんだ違うのか。絶対コレだと思ったんだけどな。如何にも不満です、といった表情の蘭は独り言を呟いている。「鈍い」やら「何で分かんないんだ」とか言っているが、聞いたところで教えてくれない。いつも尋ねても「私の口から言うのは筋が違うから」と毅然とした表情で返される。一貫して察しろスタイルだ。
「蘭ねーちゃん!!」
後ろから聞こえてきたコナン君の声に私達は足を止める。コナン君はサッカーをしていたらしく、小脇にサッカーボールを抱えていた。
「あ、コナン君。サッカーしてきたの?」
「う、うん!蘭ねーちゃん昨日の新一兄ちゃんのお話、さくらねーちゃんにしてないよね…?」
恐る恐る尋ねるコナン君に蘭はさっと目を逸らす。コナン君が私を物凄い勢いで振り返ったのでさっきの話をするとコナン君は頭を抱え始めた。
「さくらねーちゃん誤解だから!!」
「う、うん、分かってるよ」
必死の形相で迫ってくるコナン君に私は一歩後ずさる。私は制服のスカートを抑えながらしゃがんでコナン君に耳打ちする。
「分かってるからあんまり必死になって言わないの。そんなんじゃまたすぐに蘭に正体バレそうになるよ」
「分かってるっつーの…」
コナン君はそう言うが本当に分かっているのか怪しい。眉を釣り上げるとコナン君は冷や汗をかいて大丈夫だよ、と笑った。何が大丈夫なんだ。
「コナン君、スーパー寄っていっても良い?」
「う、うん」
蘭の言葉に笑うコナン君。猫かぶりが上手くなったものだ。
「じゃあね、蘭」
「うん、また明日ね!!」
「ばいばい、さくらねーちゃん」
蘭の前なので猫を被るコナン君に手を降る。スーパーに行くために背を向けた二人の家庭的なやり取りを気にしないことにしながら、私も帰るために二人に背を向けた。
嫌な気持ちになるのは、きっと気のせい。