御伽噺とは言わないが。外伝
「買い替え…?」
ゴソゴソと配線をいじっている徳永ち向かって徳治は話しかけた。
「そうそう、これ5、6年前に買ったやつだけど、もう結構動作とか重くなってきたでしょ?」
そう言って優しく目の前のノートパソコンを叩く。
「1番最初にきたやつだから思い出深いけどね〜。」
「………。」
ニヤニヤしながらこちらを向く徳永を見て、その言葉の意図を考えて徳治は苦い表情になった。
それは、徳永がお目付け役としてこの寺に来て半年経過した頃のことだった。
「え、パソコンを知らない…?」
どういった経緯でそのような流れになったのかは忘れてしまったが、徳治の衝撃的な一言で徳永が聞き返したのが始まりだった。
「…知らないけど、悪い?」
この時、徳治(13歳)は反抗期で話す言葉も少し刺のあるものだった。
「別に悪くはないけど…。」
「ならそんな顔して言うな。」
「…パーソナルコンピュータは?」
「何その無駄に長ったらしい名前。」
本当に知らないらしい。
言葉を失いそうになったが、念のために別の機器の事も質問してみる。
「携帯電話は?」
「…村の皆が持っているのは見たことある。」
しかし、その使い方は全く知らない様子だった。
(いや、年頃から考えて中学生が携帯持つのは早いとは思うけども。)
特例がなければ、村の外に出る事すら許されない徳治は知らない事が多すぎると半年生活を共にしてやっと分かってきた。
(というか、そもそも知っている事と知らないことに偏りがあるんだよなぁ…。)
思い返してみると、最初から感じていたどこか浮世離れしたような雰囲気はそれが理由かも知れない。
しかも、ここの寺には情報媒体がかなり限られている。
テレビもラジオもなく、徳治にとっては新聞や学校から届けられる教材しか触れられるものがなかった。
『先祖返りには、必要最低限の情報だけ与えるべし。』
お目付け役になる為に、その心得を読んだ時、酷く怒りを覚えたのを思い出した。
(…このままじゃ、つまんない人生送るだけじゃないか。)
そう思い、徳永はある行動に移ることにした。
「ちわー、電光ネットです!」
しばらくして、とある業者が包安寺を訪ねてきた。
「…えっと、少々お待ちください。」
心当たりがなく、徳治はとりあえず徳永を呼びにいった。
「…おい。」
「何?」
「なんか業者来たけど。」
「あーそろそろだと思ってた、ありがとうね!」
「………。」
足早にその場から去り、玄関へ向う徳永の後ろ姿を訝しげに徳治は見ていた。
「大変だったでしょ、こんな山奥まで。」
「いえいえ、他にもここで受け持っているお客様がいらっしゃるので、もう慣れてますよ。」
「心強いね〜。」
他愛もないやり取りを聞きながら、徳治はとりあえずお茶を煎れ、ちょっとしたお菓子を用意してその業者に差し出した。
「…どうぞ。」
「あっ、すみません!」
「いえ…それじゃあ、おれはこれで。」
自分には関係のないことだと思い、その場をすぐに去った。
しかし、関係ないことではなかった。
「ジャーン!!」
「………。」
年甲斐もなく効果音を言いながら、徳永はでかいダンボールを徳治の目の前に出した。
「…何これ。」
「まあまあ、開けてみて。」
言われるがままに開けてみると、なにやら黒く四角い機械が見えた。
「これは…?」
「説明しよう!」
ニヤリと笑みを浮かべ、徳永はすぐに徳治に説明をしながらノートパソコンのセッティングを始めた。
ネットを始めるにはどうしても本家からの了承を得ないといけなかった。そしてこれが最難関だった。
実際電話で通話していても、相手方は渋った返答しか出さず、徳治が知識を得ることは自分達の脅威になるのではないかとまで言われた。
正直駄目かなと思った所で思わぬ所から助け舟がきた。
『おー徳永、元気そうだな。』
それは、徳治の師匠であり、徳永の恩人でもある徳界(とくかい)だった。
徳界は日頃修行と称して多くの山へ登り、滝行をする、僧侶というより山伏じゃないかとまで言われる変わり者だった。
しかし、修行の成果や元々持つ力が合わさり、実力は折り紙つきだった。
『いやー、久しぶりに本家に戻って来て、今お前に電話が繋がっているっていうからついな。』
ガハハと笑い声が聞こえて、電話越しでもその豪快な大きな口を開いた笑顔が見えるようだった。
「…お久しぶりです。」
『おう、何だ随分萎れた声だな、お前らしくもない。』
「実は―――――」
事の詳細を話すとすぐに徳界は賛成してくれた。
『やってみろ、何事も挑戦だ。』
破天荒な徳界らしい助言を貰い、また恩ができてしまった事を申し訳なく思う反面嬉しかった。
徳界の押しもあって渋々ながら本家の了承を得れた。
こうした事があって無事にネットを繋ぐ事ができたのである。
そして、あれこれパソコンの事を教えてしばらく経ったある日のことだった。
「おはよう~。」
「………ん。」
朝食を作っている最中に徳治は入ってきた。
まだ眠いのか、目元を擦っている。
(なんか、最近目覚め悪そうだな。)
普段徳治は朝食を作り始める辺りにこちらに来るのだが、それが最近徐々に遅くなっている。
何となく気になって、声をかけてみた。
「最近寝れてる?」
「……ん。」
「なんか疲れてそうに見えるんだけど?」
「………んーん。」
「…そう。」
「…ん。」
寝ぼけているのか、「ん。」しか話さない徳治に徳永は気になったが、朝食の準備ができたので、その話題は止めて机にご飯を並べ始めた。
その晩。
「あー、本家に送る報告書をメールで送らなきゃ…。」
今までは電話で口頭や郵送でも問題なかったのに、ネットを繋げてから文書作成ソフトで送れだのなんだの言われ、それだったら最初からネット繋げろよと理不尽な要求に徳永は少し苛立っていた。
しかし、肝心のノートパソコンがいつも置いてある場所に見当たらなかった。
「…おかしいな、別の所に置いたっけ?」
記憶を遡り考えたが、全く出てこなかった。
そして、違うとは思いつつも一つの可能性が出てきた。
「徳治…?」
ノートパソコンの使用は『休憩時間ならいつでも。』と言ってあるので、夜に使っていてもおかしくなかった。
(まー疑っちゃいけないけど…。)
ひょっとしたら徳永が知らない間に使用し、別の場所に置いたかもと徳治の部屋に行くことにした。
徳治の部屋のふすまから光は感じられないが、密やかな音声は聞こえてきた。
ヘッドホンを買っていなかったので、動画を見る時はどうしても音が漏れてしまうのだ。
(使用中かぁ…。)
夜、動画、自室。
この3つのワードから徳永が考えついてしまったことは酷く下世話なことだった。
(いや、まぁ、年頃の男の子だったらしょうがないし…。)
引き返すべきかどうかを迷っていたが、メールを送るだけという自分の目的を思い出し、怒られるのを覚悟してふすまを開けた。
「徳治、ごめんパソコン使わせて…。」
「………!」
案の定、酷く驚いた表情をしてこちらを見てきた。
そして暗い部屋の中、徳永は見てしまった。
「徳治、それ…」
「見るな!そもそもちゃんとノックしろよ!!」
パソコンが見えないように寝転がっていた姿勢から立ち上がり、徳永の目の前に立つ。
しかし、パソコンの小さな音が徳治の部屋に響いた。
『にゃーん。』
「最近目覚め良くないのはこれが原因かぁ…。」
「………。」
とりあえず、メールを送ってから徳永は徳治に向き直って話しかけた。
「お前この前動物園に初めて行った時、めちゃくちゃ嬉しそうだったもんなぁ…。」
「…。」
徳治は終始バツの悪い顔をして徳永から顔を背けていた。
「パソコン使えるようになって俺は嬉しいけど、寝不足はあかんぞ。」
「…ん。」
正直、こんな可愛い動画ではなくてエロいものを見ているのではと思っていた徳永はちょっと後ろめたいと思いながらもしっかりと注意した。
「………あの、さ。」
パソコンの利用時間をしっかりと決めて数日経ったある日徳治が話しかけてきた。
「…何?」
雰囲気が言いにくそうな感しだったので、優しく徳永は聞き返す。
「アイツにも…パソコンの使い方、教えてくれない?」
「………。」
徳治がアイツという相手は1人しかいなかった。
「アイツと『話した』時に動画のこと言ったら興味深そうに聞いてたから。」
「…そんな顔して言うなよ。」
もちろん、その事も考慮してネットを繋げたつもりだった。
例え、裏山の影響でどっかのホラー映画よろしく画面から人が出てくる事になっても、徳治達には錫鍵村以外の情報を知ってもらいたかった。
「またいつでもあいつを呼べよ、ちゃんと教えるから。」
「……ん。」
素直にありがとうと言えない徳治の頭を撫でたら「子供扱いするな。」と怒られた。
オマケ
「徳永ー。」
裏人格の徳治がパソコンを使い始めてしばらく経った頃だった。
「何、また野球の乱闘見てんの?」
「うるせーな、面白いからいいんだよ。」
そしてとある選手を指差しこんな事を言った。
「コイツ何でこんな肌黒いんだ?」
指差された先を見ると動画の中で大暴れする選手がいた。
「コイツ良くぶち切れて、ケンカするし、なかなかいい腕だが、外見おかしくね?」
「…外国の人だからかな。」
「外国?唐(昔の中国)の事か??」
でもそれだけでこんな黒くなるのかと疑問符を浮かべる徳治を徳永は驚きの表情で見つめていた。
この時、徳治が外国人の存在を知らないことが発覚した。
ゴソゴソと配線をいじっている徳永ち向かって徳治は話しかけた。
「そうそう、これ5、6年前に買ったやつだけど、もう結構動作とか重くなってきたでしょ?」
そう言って優しく目の前のノートパソコンを叩く。
「1番最初にきたやつだから思い出深いけどね〜。」
「………。」
ニヤニヤしながらこちらを向く徳永を見て、その言葉の意図を考えて徳治は苦い表情になった。
それは、徳永がお目付け役としてこの寺に来て半年経過した頃のことだった。
「え、パソコンを知らない…?」
どういった経緯でそのような流れになったのかは忘れてしまったが、徳治の衝撃的な一言で徳永が聞き返したのが始まりだった。
「…知らないけど、悪い?」
この時、徳治(13歳)は反抗期で話す言葉も少し刺のあるものだった。
「別に悪くはないけど…。」
「ならそんな顔して言うな。」
「…パーソナルコンピュータは?」
「何その無駄に長ったらしい名前。」
本当に知らないらしい。
言葉を失いそうになったが、念のために別の機器の事も質問してみる。
「携帯電話は?」
「…村の皆が持っているのは見たことある。」
しかし、その使い方は全く知らない様子だった。
(いや、年頃から考えて中学生が携帯持つのは早いとは思うけども。)
特例がなければ、村の外に出る事すら許されない徳治は知らない事が多すぎると半年生活を共にしてやっと分かってきた。
(というか、そもそも知っている事と知らないことに偏りがあるんだよなぁ…。)
思い返してみると、最初から感じていたどこか浮世離れしたような雰囲気はそれが理由かも知れない。
しかも、ここの寺には情報媒体がかなり限られている。
テレビもラジオもなく、徳治にとっては新聞や学校から届けられる教材しか触れられるものがなかった。
『先祖返りには、必要最低限の情報だけ与えるべし。』
お目付け役になる為に、その心得を読んだ時、酷く怒りを覚えたのを思い出した。
(…このままじゃ、つまんない人生送るだけじゃないか。)
そう思い、徳永はある行動に移ることにした。
「ちわー、電光ネットです!」
しばらくして、とある業者が包安寺を訪ねてきた。
「…えっと、少々お待ちください。」
心当たりがなく、徳治はとりあえず徳永を呼びにいった。
「…おい。」
「何?」
「なんか業者来たけど。」
「あーそろそろだと思ってた、ありがとうね!」
「………。」
足早にその場から去り、玄関へ向う徳永の後ろ姿を訝しげに徳治は見ていた。
「大変だったでしょ、こんな山奥まで。」
「いえいえ、他にもここで受け持っているお客様がいらっしゃるので、もう慣れてますよ。」
「心強いね〜。」
他愛もないやり取りを聞きながら、徳治はとりあえずお茶を煎れ、ちょっとしたお菓子を用意してその業者に差し出した。
「…どうぞ。」
「あっ、すみません!」
「いえ…それじゃあ、おれはこれで。」
自分には関係のないことだと思い、その場をすぐに去った。
しかし、関係ないことではなかった。
「ジャーン!!」
「………。」
年甲斐もなく効果音を言いながら、徳永はでかいダンボールを徳治の目の前に出した。
「…何これ。」
「まあまあ、開けてみて。」
言われるがままに開けてみると、なにやら黒く四角い機械が見えた。
「これは…?」
「説明しよう!」
ニヤリと笑みを浮かべ、徳永はすぐに徳治に説明をしながらノートパソコンのセッティングを始めた。
ネットを始めるにはどうしても本家からの了承を得ないといけなかった。そしてこれが最難関だった。
実際電話で通話していても、相手方は渋った返答しか出さず、徳治が知識を得ることは自分達の脅威になるのではないかとまで言われた。
正直駄目かなと思った所で思わぬ所から助け舟がきた。
『おー徳永、元気そうだな。』
それは、徳治の師匠であり、徳永の恩人でもある徳界(とくかい)だった。
徳界は日頃修行と称して多くの山へ登り、滝行をする、僧侶というより山伏じゃないかとまで言われる変わり者だった。
しかし、修行の成果や元々持つ力が合わさり、実力は折り紙つきだった。
『いやー、久しぶりに本家に戻って来て、今お前に電話が繋がっているっていうからついな。』
ガハハと笑い声が聞こえて、電話越しでもその豪快な大きな口を開いた笑顔が見えるようだった。
「…お久しぶりです。」
『おう、何だ随分萎れた声だな、お前らしくもない。』
「実は―――――」
事の詳細を話すとすぐに徳界は賛成してくれた。
『やってみろ、何事も挑戦だ。』
破天荒な徳界らしい助言を貰い、また恩ができてしまった事を申し訳なく思う反面嬉しかった。
徳界の押しもあって渋々ながら本家の了承を得れた。
こうした事があって無事にネットを繋ぐ事ができたのである。
そして、あれこれパソコンの事を教えてしばらく経ったある日のことだった。
「おはよう~。」
「………ん。」
朝食を作っている最中に徳治は入ってきた。
まだ眠いのか、目元を擦っている。
(なんか、最近目覚め悪そうだな。)
普段徳治は朝食を作り始める辺りにこちらに来るのだが、それが最近徐々に遅くなっている。
何となく気になって、声をかけてみた。
「最近寝れてる?」
「……ん。」
「なんか疲れてそうに見えるんだけど?」
「………んーん。」
「…そう。」
「…ん。」
寝ぼけているのか、「ん。」しか話さない徳治に徳永は気になったが、朝食の準備ができたので、その話題は止めて机にご飯を並べ始めた。
その晩。
「あー、本家に送る報告書をメールで送らなきゃ…。」
今までは電話で口頭や郵送でも問題なかったのに、ネットを繋げてから文書作成ソフトで送れだのなんだの言われ、それだったら最初からネット繋げろよと理不尽な要求に徳永は少し苛立っていた。
しかし、肝心のノートパソコンがいつも置いてある場所に見当たらなかった。
「…おかしいな、別の所に置いたっけ?」
記憶を遡り考えたが、全く出てこなかった。
そして、違うとは思いつつも一つの可能性が出てきた。
「徳治…?」
ノートパソコンの使用は『休憩時間ならいつでも。』と言ってあるので、夜に使っていてもおかしくなかった。
(まー疑っちゃいけないけど…。)
ひょっとしたら徳永が知らない間に使用し、別の場所に置いたかもと徳治の部屋に行くことにした。
徳治の部屋のふすまから光は感じられないが、密やかな音声は聞こえてきた。
ヘッドホンを買っていなかったので、動画を見る時はどうしても音が漏れてしまうのだ。
(使用中かぁ…。)
夜、動画、自室。
この3つのワードから徳永が考えついてしまったことは酷く下世話なことだった。
(いや、まぁ、年頃の男の子だったらしょうがないし…。)
引き返すべきかどうかを迷っていたが、メールを送るだけという自分の目的を思い出し、怒られるのを覚悟してふすまを開けた。
「徳治、ごめんパソコン使わせて…。」
「………!」
案の定、酷く驚いた表情をしてこちらを見てきた。
そして暗い部屋の中、徳永は見てしまった。
「徳治、それ…」
「見るな!そもそもちゃんとノックしろよ!!」
パソコンが見えないように寝転がっていた姿勢から立ち上がり、徳永の目の前に立つ。
しかし、パソコンの小さな音が徳治の部屋に響いた。
『にゃーん。』
「最近目覚め良くないのはこれが原因かぁ…。」
「………。」
とりあえず、メールを送ってから徳永は徳治に向き直って話しかけた。
「お前この前動物園に初めて行った時、めちゃくちゃ嬉しそうだったもんなぁ…。」
「…。」
徳治は終始バツの悪い顔をして徳永から顔を背けていた。
「パソコン使えるようになって俺は嬉しいけど、寝不足はあかんぞ。」
「…ん。」
正直、こんな可愛い動画ではなくてエロいものを見ているのではと思っていた徳永はちょっと後ろめたいと思いながらもしっかりと注意した。
「………あの、さ。」
パソコンの利用時間をしっかりと決めて数日経ったある日徳治が話しかけてきた。
「…何?」
雰囲気が言いにくそうな感しだったので、優しく徳永は聞き返す。
「アイツにも…パソコンの使い方、教えてくれない?」
「………。」
徳治がアイツという相手は1人しかいなかった。
「アイツと『話した』時に動画のこと言ったら興味深そうに聞いてたから。」
「…そんな顔して言うなよ。」
もちろん、その事も考慮してネットを繋げたつもりだった。
例え、裏山の影響でどっかのホラー映画よろしく画面から人が出てくる事になっても、徳治達には錫鍵村以外の情報を知ってもらいたかった。
「またいつでもあいつを呼べよ、ちゃんと教えるから。」
「……ん。」
素直にありがとうと言えない徳治の頭を撫でたら「子供扱いするな。」と怒られた。
オマケ
「徳永ー。」
裏人格の徳治がパソコンを使い始めてしばらく経った頃だった。
「何、また野球の乱闘見てんの?」
「うるせーな、面白いからいいんだよ。」
そしてとある選手を指差しこんな事を言った。
「コイツ何でこんな肌黒いんだ?」
指差された先を見ると動画の中で大暴れする選手がいた。
「コイツ良くぶち切れて、ケンカするし、なかなかいい腕だが、外見おかしくね?」
「…外国の人だからかな。」
「外国?唐(昔の中国)の事か??」
でもそれだけでこんな黒くなるのかと疑問符を浮かべる徳治を徳永は驚きの表情で見つめていた。
この時、徳治が外国人の存在を知らないことが発覚した。