ミツメ外伝 海賊達の小休止
試作料理の味見を頼みたいとノイに言われ、お昼が過ぎたがマツリはまだ船内の食堂に残っていた。
「ノイさんって、誰にも同じ対応しますよね。」
不意にマツリが話を切りだした。
「何だよ、藪から棒に。」
「いいなぁって思って。」
ノイの返答に苦笑いをして、マツリは自分の考えを伝えた。
「あたしは目のこともあるけど、どの人にも遠慮がちな対応しかできないから…。」
「……………。」
ノイは包丁を研ぐ手を止めて、マツリの方へ体を向けた。
「いや、こっちを向くほどの話じゃないですよ…。」
「俺がこっちを向いて話を聞きたかっただけだ。」
言葉は相変わらずだがそれでも話す姿勢を見せてくれたノイにマツリは微笑む。
「別に、平等に接しているつもりなんてないけどな。」
「そうですか?」
「言葉遣いとかも多少変えているだろ?」
「荒いですけどね。」
「言うようになったな、お前…。」
「あ、すみません。」
「謝るな…まぁ、ここにいる奴らは俺にとって客だからな。」
「お客?」
「ああ、船長に雇われた時からずっとだ。」
仲間とは違うのだろうかと、マツリは考えがよぎった。
お客様というそれだけの関係で彼はこんなに優しく接してくれるのだろうかと複雑な気持ちが駆けてくる。
「…何か不満か?」
「思っていた答えと違っていたので…。」
「あー言い方が悪かったか。」
釈然としない様子のマツリを見て、ノイは言い方を改めた。
「一言で言うなら俺の料理を食ってもらう為なら何でもする間柄だ。」
「え~と…。」
「ただ料理を食ってもらうだけなら、ケンカなんてしねぇだろ。」
確かに料理人なのに、ノイは荒事の場面になると自分から進んで戦いに赴く。
「料理を作ることも、ケンカをすることも同じだけどな。」
「同じですか?」
「俺にとっては同じだ、一見全く違う行為に見えるがな。」
ノイはできる限り丁寧な説明をした。
「ケンカをすることと料理をすることは繋がっているんだ。」
「ごめんなさい、ノイさん余計に分からなくなった。」
「あーつまりだな…。」
数分待つと、ノイの口から回答が聞けた。
「俺の料理を食べてくれるんだ、そのお客様を守るのは当然だろう。」
「…?」
分からない様子が続くマツリに、もっと分かりやすくなるように考えてから彼は再度口を開く。
「料理人っていうのは、客がいないと成り立たねぇもんなんだよ。」
マツリの目線に合わせ、ゆっくりとノイは語る。
「で、客が料理をおいしく食べてもらえるように守る、怪我なんてしちまったら、料理がおいしく感じなくなるかもしんねぇしな。」
そう言って、ノイはマツリから背を向けて、作業を再開した。
「…なるほど。」
「ま、そういうことだ。」
「だから、ガーナちゃんにお菓子を皆に内緒で作っちゃうんですね。」
「…うっせぇな!」
こっちを向かずに怒鳴るノイのここからでは見えない今の表情を想像して、マツリはそっと笑みを浮かべた。
「あと、変に気を使うんじゃねぇ。」
「はい?」
「ガキならガキらしく、敬語なんて使うなって言ってんだよ。」
唐突に言われ何のことか考えると、マツリは先程呟いていた遠慮がちにしか人と接することができないことについての返答だと気づいた。
「…努力してみます。」
「だから使うなって。」
あっと口を押さえたが、もう遅くノイにじっとりとした視線を送られた。
「これからだな。」
「は…うん。」
返事でさえぎこちないその言葉にノイは少し表情が緩んだ。
「ノイさんって、誰にも同じ対応しますよね。」
不意にマツリが話を切りだした。
「何だよ、藪から棒に。」
「いいなぁって思って。」
ノイの返答に苦笑いをして、マツリは自分の考えを伝えた。
「あたしは目のこともあるけど、どの人にも遠慮がちな対応しかできないから…。」
「……………。」
ノイは包丁を研ぐ手を止めて、マツリの方へ体を向けた。
「いや、こっちを向くほどの話じゃないですよ…。」
「俺がこっちを向いて話を聞きたかっただけだ。」
言葉は相変わらずだがそれでも話す姿勢を見せてくれたノイにマツリは微笑む。
「別に、平等に接しているつもりなんてないけどな。」
「そうですか?」
「言葉遣いとかも多少変えているだろ?」
「荒いですけどね。」
「言うようになったな、お前…。」
「あ、すみません。」
「謝るな…まぁ、ここにいる奴らは俺にとって客だからな。」
「お客?」
「ああ、船長に雇われた時からずっとだ。」
仲間とは違うのだろうかと、マツリは考えがよぎった。
お客様というそれだけの関係で彼はこんなに優しく接してくれるのだろうかと複雑な気持ちが駆けてくる。
「…何か不満か?」
「思っていた答えと違っていたので…。」
「あー言い方が悪かったか。」
釈然としない様子のマツリを見て、ノイは言い方を改めた。
「一言で言うなら俺の料理を食ってもらう為なら何でもする間柄だ。」
「え~と…。」
「ただ料理を食ってもらうだけなら、ケンカなんてしねぇだろ。」
確かに料理人なのに、ノイは荒事の場面になると自分から進んで戦いに赴く。
「料理を作ることも、ケンカをすることも同じだけどな。」
「同じですか?」
「俺にとっては同じだ、一見全く違う行為に見えるがな。」
ノイはできる限り丁寧な説明をした。
「ケンカをすることと料理をすることは繋がっているんだ。」
「ごめんなさい、ノイさん余計に分からなくなった。」
「あーつまりだな…。」
数分待つと、ノイの口から回答が聞けた。
「俺の料理を食べてくれるんだ、そのお客様を守るのは当然だろう。」
「…?」
分からない様子が続くマツリに、もっと分かりやすくなるように考えてから彼は再度口を開く。
「料理人っていうのは、客がいないと成り立たねぇもんなんだよ。」
マツリの目線に合わせ、ゆっくりとノイは語る。
「で、客が料理をおいしく食べてもらえるように守る、怪我なんてしちまったら、料理がおいしく感じなくなるかもしんねぇしな。」
そう言って、ノイはマツリから背を向けて、作業を再開した。
「…なるほど。」
「ま、そういうことだ。」
「だから、ガーナちゃんにお菓子を皆に内緒で作っちゃうんですね。」
「…うっせぇな!」
こっちを向かずに怒鳴るノイのここからでは見えない今の表情を想像して、マツリはそっと笑みを浮かべた。
「あと、変に気を使うんじゃねぇ。」
「はい?」
「ガキならガキらしく、敬語なんて使うなって言ってんだよ。」
唐突に言われ何のことか考えると、マツリは先程呟いていた遠慮がちにしか人と接することができないことについての返答だと気づいた。
「…努力してみます。」
「だから使うなって。」
あっと口を押さえたが、もう遅くノイにじっとりとした視線を送られた。
「これからだな。」
「は…うん。」
返事でさえぎこちないその言葉にノイは少し表情が緩んだ。
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