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第一章


『…畜生!』

言葉を吐いた後に巨大ムジナの姿が一気に霞み、あっという間に最初の五体のムジナの姿に戻った。
しかし、その体はそれぞれ傷を負っており、特にリーダーの体は酷い大怪我を負っていた。
「…幻術って、こんなに傷を負うものなの?」
ムジナたちの様子を見て、徳永は率直な疑問を徳治に投げかけた。
「こいつらの使う幻術とオレの使う幻術は違うんだよ。」
とリーダーのムジナに指をさして面倒くさそうに説明した。
「…さっきの巨大化はそれなりに強い状態になれるが、攻撃を受けると通常時の倍くらいに衝撃を受けるらしい、そんで一番大怪我をしているこいつが核となって変化したから、こいつが一番怪我をするようだ。」
「なんか抽象的な説明だな…。」
疑わしい目で見てくる徳永に徳治は馬鹿にしているような表情になった。
「幻術に科学的な説明ができると思うのか?」
「…あー。」
「お望みなら、森羅万象の力やらこの非科学的な山の話を延々とたれてもいいが?」
「丁重にお断りします。」
苦い顔になった徳永を満足そうに眺め、徳治はムジナたちの方へ向いた。
「…また、お前の幻覚が相手だったのか。」
悔しそうに顔を歪めてリーダーのムジナは徳治を睨みつけてきた。
「まあな。」
「そんなものを使って、あの方との約束を守っているつもりでいるのか?」
「………。」

「あの方を忘れられずにずっと思っているのは、他でもないお前だろう?」

瞬時に険しい顔を更に仁王像のように変化させ、徳治はリーダーの首を掴んだ。
「カズ兄!!」
ゴウと呼ばれた小さなムジナの叫び声が響いた。
「おい、徳治!!」
徳永が制止の声を出すが、徳治はカズと呼ばれたリーダーのムジナの首を離そうとしなかった。
「…ゲホッ!!」
「………。」
じっと睨みつける徳治に対して、カズは首を掴まれてもなお話しかけた。
「…ふん、その身に宿る高貴な魂がお前なんかの魂が入り混じり醜いものとなっているな。」
徳治は言葉を発しないが、代わりに握力を強めた。
「その紅に光る瞳がその証拠だ、それだけは以前と変化がないな…六兵衛狸(ろくべえだぬき)。」
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