第三章


「なん、だ…コイツ!?」

ここは自分達のテリトリーで、しばらくの間部外者なんて全くといっていい程来なかった。
「結界を掻い潜ってきたというのか!?」
「ん~、結界~??」
問いかけるムジナのジロの声に相手は呑気な声で、答えた。
「あ~なんかあったけれど、アタシの力なら問題ないから。」
そう言って、踏みつけているシキミに更に負荷を掛ける。
「シキミに何すんだッ!」
「待て、ササ!!」
ササは相手に襲いかかったが、あえなく蹴り飛ばされてしまう。
「ガフッ!!」
「よっわ~。」
くすくすと笑うその様子を見て、ジロは頭に血が昇るのを感じたが、後ろの気配に気付き振り向く。
「…誰だ、お前。」
ゴウがカズを連れて現れた。
「あらあら。」
「ジロ、やるぞ…それと、ゴウ。」
「なっ何?」
「お前は、あの人たちを呼んで来い。」
心底悔しそうに、カズは呟く。

「この山の主たる奴の力が必要だ。」

寺に辿り着くと、徳治は顔を顰めた。
「…どうしたの?」
徳治の様子を見て、徳永が問う。
「いや…気のせいかな?」
「…アイツは何か言ってる?」
「おれと同じ…何か変だって。」
六兵衛でさえもあやふやな答えを出すのであれば、余程不可解な事態が起こっている可能性を危惧し、徳永は提案した。

「…選手交代する?」

その言葉に徳治は明らかに嫌そうな顔をした。
「…そんな頼りない?」
「そんなこと言ってないだろ。」
苦笑しながら徳永は言い訳をする。
「まだそこらへんは修行中のお前だからな。」
「修行不足ってことじゃないか…。」
「若いからな…それと、そうしないと俺が様々な方面に怒られるというか。」
視線を外して呟く徳永を見て、溜息をついてから徳治は告げた。
「…やるよ、それが役目だ。」
諦めたように呟くが、ぽそりと「…これじゃあ、どっちが福釜徳治か分からないな。」と零した。

「…出てこい。」
「は?」
お前じゃないと、徳治は視線で徳永を制し、すぐ近くの茂みに目をやった。
すると。
「きゅぅ…きゅぅ…。」
少し震えながら出てきたのは、ムジナ五匹衆のゴウが2人の前に現れた。
「ゴウくん…足から血が流れてないか!?」
足を引きずっていると思って見ていたら、足跡が血で滲んでいることに徳永は驚く。
「ぼ…僕のことは、いいから…皆を、助けて!」
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