第三章


「…なんとなく、察しはついてたけどねぇ。」

ある程度の話をした後、木戸夫妻は耐えられなくなったのか無言になってしまったので、一部の情報を南良に話し、徳治たちは木戸家から出た。
徳永のこの一言は、紗枝と夫妻が血縁関係ではないということについてだ。
「成長するにしたがって個性は出てくるけど、似てなかったもんね紗枝ちゃん。」
「………。」
徳永の言葉に徳治は反応しなかった。
「とりあえず、実のお母さんの方は南良警部に任せよう。」
まぁ、神隠しじゃなくて良かったね~と徳永は言うが、徳治は顔を険しくするばかりだ。
「…徳治。」
「………。」
「確かに、俺たちは裏山やこの村の中では割と思い通りに行動できるな。」
「…知ってる。」
「でも、全てがそうじゃない…今回の件がまさにそれだ。」
「分かってる。」
「…後悔、してるか?」
ピタリと先に進んでいた徳治の歩みが止まり、共に徳永の歩みも止まる。
「………………してるに、決まってる。」

何度もサインは送られていたはずだ。
何度も会ってたはずだ。
何度も、何度も。

「雪をにのうて古井をうずむ。」
「…禅語?」
「うん、そう…意味は何だっけ?」
はい、と少しお道化て徳永は問う。
「……目的に向かって、努力を止めないこと。」
「はい、正解。」
「それとこれと、どう関係してるの?」
「紗枝ちゃん、何度も俺たちに会いに来てくれたよね?」
「………。」
「それが、紗枝ちゃんなりの努力だったんだよ…今回は何がそうさせたのか知らないけど、紗枝ちゃんはまだ努力をしてる。」
だから、と少し眉根を下げて徳永は語りかける。

「俺たちも信じて待つ努力をしよう、あーだこーだ説教たれるのはその後だ。」
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