第二章
「勢いで入ってしまったが、ここは裏山の何合目になるのだろうか…?」
秀は暗い洞窟の中を、ゆっくりと歩いていた。
(懐中電灯は流石に持ってきていなかった…。)
転ばないように手探りの状態で秀はとりあえず進んでいた。
もしかしたら、ここを抜ければ元の場所に戻れるかもしれないと思ったからである。
核心はないが。
(磁場の影響で磁石がろくに使えないことは知っている、しかしこの洞窟下っていくようだ、ひょっとしたら元の場所に戻れる近道かもしれない。)
ちょっとした非日常を体験して、少し興奮したのか秀は正しい判断というのを忘れてしまっていた。
ただ、自分の直観に従って行動するのみになっている。
それは、本当に自分の意思で進んでいるのか分からなくなるくらいに。
自分の足音だけ響いていたと思っていた洞窟に別の音が聞こえてきた。
ピチャン…ピチャン…
何かがしたたる音。
(水?)
そういえば全力で逃げてきて喉が渇いた。
ミネラルウォーターが切れてしまったことを思い出し、途端に水を飲みたい欲求に駆けられた。
「行くか…。」
そこに何があるのかも知らずに。
「ここは―――――」
歩き続けると、広いところに出た。
そこは池がところどころあり、氷柱のような石が天井から、地面から生えている。
「鍾乳洞…か?」
洞窟の中だというのにそこは明るくなっていた。
池の底は心なしか青く見え、氷柱のような石は鍾乳石であり、立派な大きさのものがいくつもあり、それらから構築されるこの空間をひどく異世界のような景色を実現させていた。
しかし、何故ここまで明るいのか疑問が起こる。
「観光地のようにライトアップされているわけでもないだろうに…。」
しかし、鍾乳洞が祀られている地域の存在を思い出し、もしかしたら徳永達がそういった明かりを設置しているかもしれない。
「こんなに美しいのに、観光資源にしないなんて勿体無い…。」
後で徳永や父に会ったらすぐにでも訴えようと、喉の渇きも忘れて秀は調査をし始めた。
しばらく歩いていると、より光が強い場所にきた。
