第一章
その後、徳治とムジナたちは話し合い、三つ約束を作った。
それが、今のこれである。
「じゃあ、これ今回の分。」
紙袋に野菜や果物を一杯入れたものを徳永はジロに渡した。
「こんなに…大丈夫なのか?」
「いいのいいの、作りすぎたって農家の人からもらったから。」
それにと徳永は付け加えた。
「五匹もいるから、大変でしょ?」
「…感謝する。」
まあまた足りなくなったらいつでも来ていいからと徳永はジロに伝えた。
一つ、食料を荒らさない代わりに包安寺まで食料を取りに来ること。
「えっと…それで、アレはいつまで続く?」
「あー…。」
二人はある光景を見ながら話した。
「どうかな、気持ちいい?」
「うん、もっともっと~!!」
それは徳治が人から元のムジナの姿に戻ったゴウをひたすら体を撫でているというものだった。
「お兄ちゃん、上手だね!」
「そうかな…?」
嬉しそうにほほ笑む徳治に「うん!」とゴウが笑顔を向ける。
二つ、食料を取りに来たムジナは徳治に撫でてもらうこと。
「あいつ、基本どんな動物でも好きだからな…。」
あきれた顔で光景を見る徳永に「そうなのか。」とジロは相づちを打った。
「まあ、これで交渉成立できるから、平和的でいいだろ。」
「…しかし、カズはあきらめてはいないぞ。」
「だから、三つめの約束をしたんだろう?」
三つ、村に危害を及ぼすときは、先に包安寺に危害を加えること。
「………。」
「そんな顔するな。」
苦笑して、徳永はジロに話しかけた。
「これまでも、こんなことはあったし、今回あいつを出したのは賭けだったけどな…今度からは早めにあいつの方を出すようにするよ。」
「…すまない。」
「お互いさまだろう?」
視線を徳治たちのいる方向へ戻した徳永はすぐに苦い表情に変化した。
「おい徳治、だらけきった表情をするんじゃない!」
「え~いいじゃないか…。」
「はい二人とも解散、日が暮れる!!」
