第4章
船長から改めて海賊達の目的についての説明が終わり、どこかふわふわとした気持ちでマツリは寝室に辿り着く。
「…冒険の準備をするんじゃねーのか?」
ベッドに座り、一向に準備を始めないマツリに痺れを切らして話しかける。
「あ…そう、なんだけど。」
そこ声に現実に呼び戻されるも、考えがまとまらないのかその顔は晴れない。
「まぁ…理想郷について、か。」
その問いにこくりと彼女は頷き、口を動かす。
「島の中に居ても、全く聞いたことの無い話だったから。」
確かに、とミツメも答える。
「オレもだね~俗世の話とか全く興味がないけれど…そんなに知られていたのなら知らない方がおかしいだろ。」
加えて、とミツメは低い声でそのまま続けた。
「ただの御伽噺を放っておかないあの船長さんの目の付け所も…流石と言うべきなのか、なんというべきか…。」
半ば呆れているとも言えなくはない口調ではあったが、彼なりに船長への目線が変わったらしい。
「…でも、アンタが知らないのは意外だった…知っていそうなのに。」
「箱入り目玉でございますっ!」
大事な所でまたはぐらかされるので、マツリはノーリアクションを決め込む。
それをつまらないと思ったのか、目玉は「ここ笑うところ~。」と丁寧に教えるも、やっぱり沈黙が訪れるだけなので、無言になる。
「ま、貴重な物がある所に向かうのなら気を付けな…周りには危険なもんがいっぱいあるもんだ。」
ましてや無人島なんだからな、と釘を刺されマツリは「分かってる。」と呟き、作業を再開した。