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第3章


サナに声を掛けられ、衣装であるワンピースの裾を揺らしてマツリはその場に立つ。
歩いた所から見守っていた海賊たちは、小さな声で話す。
「…カクカクだな。」
「重心傾いているね。」
「汗が見える。」
まとめると、明らかに彼女が緊張しているという事だが、マツリを呼びに来たサナはそれを微笑ましく見つめていた。
「まぁ、トップバッターは緊張するわよね~。」
「それを分かってやらせるんだね。」
まぁガーナもそうだったけど、とガーナは懐かしそうに呟く。
「…まぁ大体はお前が得意の話で最初の客引きで集まるから、よっぽど良いけどな。」
「逆にソレがプレッシャーにもなるが。」
ノイが言ったように、サナはコミュニケーションが得意なので、こうした客引きや話を人前でする機会が多く、大道芸をやる際もほとんどサナが司会進行役を務める。
芸もしていないのにプレッシャーになるとメソドが言った事は、サナが温めた会場の雰囲気を最初の演目次第で台無しにしてしまう可能性がある、と言う事だった。
「初めてやる子は一番最初っていうのは元から決まっていたし、プレッシャーが人を成長させる事だってあるんだから…あと―」
サナがそのまま言葉を紡ごうとしたが、向こうから声が上がりその口元を綻ばせる。

「あの子は、少しは頑張れる子だと思いますよ。」
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