第3章
「さてさて、お集まりの皆様~。」
チラシの配布していた噴水前、その場所で集まった客に対してサナが話しかける。
「此度はお集まり頂き、誠にありがとうございます。」
そのタキシードに似合った小さな帽子を取り、客たちに向けて頭を恭しく下げた。
「つきましては、ただいまより我ら旅団によるショーを開催したいと思います。」
よろしくお願いします!と高らかな宣言に少しではあるが拍手が起こる。
サナが客たちの挨拶に回っている間、簡易テントを近くに張った海賊たちは準備を進めていた。
「場所の確保出来て良かったね!」
「…まぁ、娯楽を良しとするところで良かったな。」
ガーナとメソドがこれまでの思い出を振り返る会話をしている。
「地域に住んでいても、許可が無いと出し物出来ない所もあるからな。」
「うんうん、けーさつ呼ばれたこともあったし。」
「おい、お前ら。」
既に準備が出来たノイが彼らに話しかけてきた。
「そろそろだぞ、大丈夫か?」
「当然!鳥さんたち、上でスタンバイしてるし。」
「俺も…ただ、気になるのが。」
メソドが後ろを振り返ると。
ぶつぶつ何か呟きながら手を動かしているマツリが居た。
「どうにかならんのか。」
「…そもそもステージに立てるのか?」
男二人が訝しげに見ていると、愉快な声が返ってくる。
「問題ないんじゃない?」
急に現れた声に3人は驚くも、マツリが無言で額を叩き「ぐえぇ」と悲鳴が耳に入った。
「大丈夫…にして見せます。」
顔をこちらに向けないものの、その声は芯がありとりあえず海賊たちは見守ることにした。
そして、彼の声がする。
マツリちゃん出番よ、と。