第3章


海賊、とは自称しながら。
彼らのやっていることは、ほぼ義賊的なものに近く、悪事と呼べるものがあるとすれば、カジノ等の賭博で行うイカサマや、古代遺跡の多少の荒らし行為、そして他の海賊に奇襲され過度な自衛行為などがあがる…つまりは。

「平和な時間が、日々が長引く程、お金が無くなるのよ…!」

ぎりりと歯が見えるまで顔を歪ませる美形に、マツリは疑問を口にする。
「あの、でも基本海の上で食べるものとかには問題無いのでは…。」
「マツリちゃんは、鉛筆や絵の具無しで絵を描ける?」
遠慮無しの攻撃するかのような口ぶりに少女は「…描けません。」と一気に子犬のように震えだしてしまう。
その様子を察してガーナはマツリの隣に来て耳打ちをしてくれた。
「サナはね、皆のお財布係なんだよ。」
「お財布…?」
こくり、とガーナは頷き続きを話す。
「さいてーげんの生活を守ってくれるんだって…ガーナもサナにお菓子のお小遣い管理して貰っているし。」
なるほど、とやっとマツリの理解が追いついた。
しかしなぁとのんびりとした声がそこへ響く。
「まだなんとかなるだろ…次のところでなんか売ったりすれば…。」
「そうね、貴方の集めている宝だがガラクタだかなんだか分からない物とか。」
依然棘が抜けていないその様子に「はい、すんません…。」と船長も下がる。

「だから、売る物以外にも稼ぎを増やさないといけないの。」

どういうことだろうか、と商売も何も分からないマツリは首を傾げるしか出来なかった。
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