第2章
目の前には、深い青が広がっている。
自分を簡単に飲み込んでしまいそうだと、口内にある全ての唾液を身の内に入れた。
「さて。」
空気を換えるように、放たれた一言にマツリはそちらの方を向く。
「いっちょ、宝探しの始まりだ。」
にやりと口角を上げたその表情は、いつもより生気を宿らせていた。
始まりはいつも突然だ。
「俺と一緒に宝探ししてくれる人ー!」
「「「「パス。」」」」
「…えっと?」
まだ見ぬ伝説の地を目指して航海をしている海賊一向は、船長であるリヒトの誘いの言葉にほぼ全員が否と唱えた。
たった一人、マツリを除いて。
「はい、マツリちゃん行こうか!」
「え、えっ!?」
何故他のメンバーが全く反応を示さなかったのか、分からないままマツリはリヒトと同行することとなった。
「生きて帰って来いよ。」
早々に薬の準備はしておくと告げるメソド。
「好物は揃えておく。」
淡々とメニューを考えるノイ。
「可愛いネックレスでも作っておくわね♡」
不自然な程ににこやかに送るサナ。
「ガーナ、マツリのこと忘れないよ…。」
最後に、何故か目を潤ませて手を振るガーナ。
何か問おうにも既に遅く。
「はい、じゃあ準備からしような!」
首根っこ掴まれて抵抗が出来ない。
ずるずると引きずられながら思ったのは。
(あ、これ生贄に奉げられたやつだ。)
とりあえず、帰ってきたら何を言おうかな、とそんなことを他人事のように考えていた。
