第2章


マツリがノイに体術の教えの申し出をしてから数日後。

「よし、休憩だ。」

その言葉を合図にマツリはその場にへたり込んだ。
「流石にへばったか。」
そう言うノイも汗が滝のように流しているが、涼しい顔をしている。
置いてあったタオルをマツリに投げ、水を取りに行くと扉の近くへと進んでいった。
「あ、すみませ…」
全部言い終わらないうちに、勝手に扉が開いた。

「…汗くさ。」

そこには水を入れた瓶と脇に二つのコップを挟んだメソドが立っていた。

「せめて窓開けろよ…。」
2人に水を届けに来たメソドは両人に渡すと、閉め切っていた窓を開ける。
「いや、特に支障は無かったが。」
「…空気足りてないからそんな呼吸乱しているんじゃないの?」
「え。」
話題を振られてマツリは顔を上げた。
「動くときにはどうしても空気がいる…閉め切った環境でやるのは追い込み過ぎだ。」
「ふーん、じゃあ適度にやれば鍛えられるのか?」
「限度を見極めろよ?」
窓から入ってくる新鮮な空気を身の内に入れ頭でも体でもその重要さが理解できたところで呼吸が整ったマツリはメソドに話しかけた。
「ところで…メソドさん凄くタイミングよく入ってきましたね。」
「ああ、サナがそろそろだから行ってきてって蹴り出されて。」
「アイツ人使いあら」
そこまで言ってノイは口を噤んだ。
「…ノイさん?」
「…………………………なんでもねぇ。」
メソドは黙っていたが扉の向こうに気配を感じていた。
後は言わずもがな。
「まぁ、ケガしたら医務室に来い。」
「ケガする前提で言うんじゃねぇよ。」
苦い表情で残りの水を飲み干すと、そういえばとノイは話題を変えた。
「お前に相談したいことがあるんだった。」
「あ?」
寝耳に水といった様子でメソドは声を上げた。
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