第19章

ルルゥが声で吹っ飛ばした海賊の言葉を信じ、渦潮が多く出るらしい海流を調べ上げた船長は「場所が分かった。」とその方向へ舵を切った。
「たぶん時間掛かっても数日には着くだろ…ま、本当にそうなのかは別にしても、最後の別れくらいは皆それぞれ済ませておくよーに。」
夕飯後、いつもの会議で船長がその言葉で締め各々自分の仕事や自由時間で解散していく中、皿洗い当番で一緒になったサナにマツリが話し掛ける。
「そういえば…サナさん、大砲使えたんですね。」
しかも凄い的確でした、といつもだと中距離で戦うサナの姿の方が印象的だった為彼女は意外そうに言うと、サナは少し肩を竦めて答えた。
「しょうがなく身に着けただけ、メソドちゃんに扱かれてね。」
顔がどことなくげっそりしているのは、昔の事を思い出しているからなのか、帰ってからこれまで避けられていた分を取り戻す様にルルゥに話し掛けられていたからなのか…どちらにしても苦労が知れてマツリは「あ~…。」と曖昧な返事をする。
「でも、ただ打つだけじゃないから大変ですよね。」
「ナイフと原理は一緒よ…大砲は天気や距離、風向きによって打ち方を変えないといけないから、正直ナイフの方が気楽だわ~。」
打ち手不足だしマツリちゃん視力高いからやる~?といたずらっ子みたいな顔をされ、まさか自分に矛先が向くと思わず洗っていた皿を落とし掛けそうになった。
「うわっとと………それは、勘弁して下さい。」
「向いていると思うけどね~。」
これは明らかにおもちゃにされたな…と思いながらも、きっとそれほどストレスを感じたのだろうと思う事にしてマツリは敗北の溜息を吐く。

人魚と過ごせる非日常的な日々も、あと少しとなった。
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