第2章


「いたぞッ!!」「あそこだ、追え!!」「逃がすな!!」

様々な声を耳にしながら、マツリとガーナは手を繋いで力の限り走っていた。
「はぁっ…はぁっ…、なんで…!」
泣き言を言ってもしょうがないとは思うが、タイミングの悪さや昼中なのに周りに人がいない場所でこうなってしまったことを未然に防げなかったのかと胸中で嘆いた。
「も、もう無理…。」
「ガーナちゃん!?」
幼いガーナはここで力尽きてしまったようで、その場でへたり込んでしまった。
「へへへ…、ここまでみてぇだな。」
「久しぶりの獲物だなぁ、売り飛ばすのも勿体ねぇ…ちいと遊んでからにするか!」
その不埒な手たちが2人の少女に触れようとしたその時。

すかっ

「「「!!?」」」
手が3つもあったのにも関わらず、誰一人としてその体に触れることができなかった。
触れるどころか手が体を通過してしまったのだ。
あまりの事に怯んだ男たちが茫然とすると、そのまま2人の姿は透過していき…終いには全く見えなくなってしまった。
「…な、え?」
「どうなってやがる!?」
「俺が知るかよ!」
消えた少女たちを探すも、男たちにはどこに行ってしまったか分からなくなってしまった。

「ふぅ…ふぅ…。」
「マ、マツリ…。」
「まだ話しかけないで、あいつらが追いかけているか分からないから。」
消えた、と言っても実体が消えた訳ではない。
先程のあの現象は、マツリとミツメによる能力を使った結果だった。
「幻覚…加えて今は走りながら俺たちの姿を透明にしているのは集中力が要る作業だから、お互いきついねぇマツリ。」
「お前は喋るな。」
いつからマツリは能力を使っていたのかというと、男たちに見つかって走り始めた時からだ。マツリとガーナの幻覚を作り、自分達が本当に走っている位置より徐々にずらし、男たちが幻覚に近づいてきたときに、わざとガーナに頼んで止まってもらったのだった。そして男たちが怯んだ瞬間、音を立てずにその場を去った。
「幻覚は見せることができるけれど、あたしたちの力は見せることしかできないから、音…声は実体が近くにないと違和感を起こしてバレちゃうんだよね。」
マツリは普通に話そうとしているが、息が切れて汗も流れていることはガーナの耳と手から伝わる感触で伝わってしまっていた。
「手…。」
「?」
「気持ち、悪くないの?」
「あっ、手汗気持ち悪い?…ごめんね、こうしないとガーナちゃんから透明になったあたしの姿が見えないからこうしてるんだけど…。」
慌ててマツリが申し訳なさそうに言うが、ガーナは繋がっている手をぐりりと力を込めて握ってきた。
「違うよ、そんなんじゃない!」
「…ガーナちゃん?」
大声で叫ばれて、マツリは思わずその足を止めた。

「ガーナのこと、気持ち悪くないの…?」
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