第19章

砲撃を撃ち合っている間に、マツリの透明化する幻術を掛けて貰った船長と小舟が相手の船までやって来てすぐに相手海賊全員ボコボコにしてしまい、それで敵船の動きがすっかり無くなり察した暁星海賊団の面々はそこへ船を近付けた。
「あ~…これは。」
「だいさんじ、だね。」
顔面がハチに襲われた様な外見になってしまった男もいれば、気絶しぐったりと横たわる男、そして一番酷いのは見せしめとばかりに骨を折られたのか歩けない様子の向こうのリーダーが恨めしそうにこちらをぎょろりと見る。
「畜生…何だってこんな…。」
「手ェ出した方が悪いに決まってんだろ。」
船長にギラリと持っていたサーベルを喉元に突き付けられ言葉を止めた。
「―ま、この前取る物は取ったし、砲台で金を散財しただろうからこれ以上の略奪は止めておく。」
だがな、と目をカッと見開き至近距離で脅す。
「次はねぇ。」
「…ッ」
流石にその剣幕に恐れをなしたのか、彼はそれ以上反抗的な言葉を口にする事はしなかった。

ビリビリと伝わる緊張感に誰もが固唾を呑んで見守っていると場の雰囲気を支配していた彼は一変してふにゃりと笑う。
「おーし、じゃあ人魚くん連れてきて貰ってもいい?」
何か適当な木箱に海水入れてさぁ~と仲間達に話し掛ける彼を見てマツリは脱力する。
(…本当に敵に容赦無いだけなんだな、この人。)
と改めて敵じゃない事に安堵した少女だった。
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