第19章

翌日、約束の時間がやってきた。
緊張してしまうからと一人でやってきたサナの両手に思っていた以上の荷物を持ってきていて、ルルゥは目を丸くする。
「…髪切るだけだよね?」
不信感を募らせている様子に「え~。」とサナは不満げに頬を膨らませた。
「だいじょーぶよー…ホラ。」
がしゃりと荷物に入れていたバッグの中身を一つ残さず小舟の中に広げる。
「これがハサミでしょ、すきバサミ、カミソリ、ピンセット、鏡…あとゴミ袋とか。」
「…よく分からないのもあるけど、ゴミ袋って要るの?」
あぁ、とサナは確かにと頷く。
「これは船長から言われてね、人魚の髪の回収…もとい海に貴重品をばらまく訳にいかないからこれに入れてって。」
説明は受けたものの、明らかに下心満載な言葉に少年人魚は引いていた。
「…言っておくけど、わたしの意思じゃないから。」
「こっちも先に言っておくけど、僕達の髪ってそんな価値ある物でも無いと思う。」
魚の餌になる訳でも無いし…と言われサナはくすりと笑う。
「人間の髪とほぼ同じかしらね、頭を守る為に生えているのかも。」
ある程度準備を整えて、サナはもう一つ持ってきた物をルルゥに見せる。
「これ、わたしが出来る範囲で再現出来る髪型なんだけど…どれが良い?」
いくつか紙に描かれた選択肢に、彼は目を見開いた。
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