第18章
「冷めちまったが、これでも食べてろ。」
差し出された物は、更にしっかり盛られた色とりどりのメシだった。
腹が減っていて、正気の判断が出来ない俺は目の前に出されたその見た事も無い食べ物の数々に文字通り皿ごと齧り付く。
「スプーンとか使えって!」
カトラリーを置くのを忘れていたと慌ててテーブルに置かれるが、そんな事お構いなしに俺は手で食べる。
「………こりゃまた手を拭く布が必要だな。」
一連の流れで俺が道具を使えない事を理解出来たのか、それ以上は咎める事は無くアイツはまた調理場へと戻って行く。
そんな行動も気にならない程、俺は目の前の料理に夢中になっていた。
これまで俺が食べてきた物と言えば、濁った水、水分が抜けた固いパン、色褪せた野菜、その辺で飛んでいた鳥を焼いただけの肉、ぎりぎり食べれる草…そんな食べ物と言っていいのか怪しい物だらけ。
人の手の込んだ料理…それが例え冷めていたとしても十分美味しいと思える程、俺の舌は何も知らなかった。
「―ッ、う………。」
皿の上にある料理など久しく食べていなかった、皿の上はもう何も残らず、手の爪に付いてしまったソースも食べ物の欠片も残すまいと夢中になり過ぎて。
俺は自分が泣いている事に、食べ終わってやっと気付いた。
「何で…何で、こんな…。」
泣くなんてガキの頃、育て親や他のガキからの暴力で泣かされた事があったくらいで、最近は一切泣かなくなった。
仲間達からボコボコにされた時でさえ出なかったのに。
「ほらよ。」
ことり、と前に置かれたのはふわりと優しい湯気が顔を包む様に湧き出ている飲み物。
「これだけなら温める事は出来たからよ。」
火傷に気を付けろよ~と食べ終えた皿を回収し、流し場まで持っていかれる。
恐る恐るコップに触れると、これまで触った事が無い温かい飲み物でまた驚く。
(…わざわざ、飲みもんを温める事なんてあったっけ。)
熱を加えるなんてひと手間をした事が無かった俺は、不本意ながらアイツの言葉に従いゆっくりと口を付ける。
その白い飲み物はこくがあり甘くまったりしていて、もっと飲みたいとコップを傾けると熱が高くなってきて慌てて口を離す。
火傷こそしなかったが、温かい物を食べる初めての体験にただただ感動していた。
感情が動くのが忙しいのに、表面化するのは涙だけでテーブルのシーツや自分の服にそのシミが広がっていく。
ただ無言で涙を流しながらホットミルクを飲む俺を、アイツは食器を洗いながらただ黙って見守っていた。
差し出された物は、更にしっかり盛られた色とりどりのメシだった。
腹が減っていて、正気の判断が出来ない俺は目の前に出されたその見た事も無い食べ物の数々に文字通り皿ごと齧り付く。
「スプーンとか使えって!」
カトラリーを置くのを忘れていたと慌ててテーブルに置かれるが、そんな事お構いなしに俺は手で食べる。
「………こりゃまた手を拭く布が必要だな。」
一連の流れで俺が道具を使えない事を理解出来たのか、それ以上は咎める事は無くアイツはまた調理場へと戻って行く。
そんな行動も気にならない程、俺は目の前の料理に夢中になっていた。
これまで俺が食べてきた物と言えば、濁った水、水分が抜けた固いパン、色褪せた野菜、その辺で飛んでいた鳥を焼いただけの肉、ぎりぎり食べれる草…そんな食べ物と言っていいのか怪しい物だらけ。
人の手の込んだ料理…それが例え冷めていたとしても十分美味しいと思える程、俺の舌は何も知らなかった。
「―ッ、う………。」
皿の上にある料理など久しく食べていなかった、皿の上はもう何も残らず、手の爪に付いてしまったソースも食べ物の欠片も残すまいと夢中になり過ぎて。
俺は自分が泣いている事に、食べ終わってやっと気付いた。
「何で…何で、こんな…。」
泣くなんてガキの頃、育て親や他のガキからの暴力で泣かされた事があったくらいで、最近は一切泣かなくなった。
仲間達からボコボコにされた時でさえ出なかったのに。
「ほらよ。」
ことり、と前に置かれたのはふわりと優しい湯気が顔を包む様に湧き出ている飲み物。
「これだけなら温める事は出来たからよ。」
火傷に気を付けろよ~と食べ終えた皿を回収し、流し場まで持っていかれる。
恐る恐るコップに触れると、これまで触った事が無い温かい飲み物でまた驚く。
(…わざわざ、飲みもんを温める事なんてあったっけ。)
熱を加えるなんてひと手間をした事が無かった俺は、不本意ながらアイツの言葉に従いゆっくりと口を付ける。
その白い飲み物はこくがあり甘くまったりしていて、もっと飲みたいとコップを傾けると熱が高くなってきて慌てて口を離す。
火傷こそしなかったが、温かい物を食べる初めての体験にただただ感動していた。
感情が動くのが忙しいのに、表面化するのは涙だけでテーブルのシーツや自分の服にそのシミが広がっていく。
ただ無言で涙を流しながらホットミルクを飲む俺を、アイツは食器を洗いながらただ黙って見守っていた。
