第2章
「そろそろ次の目的地に着きそうなんだけどさー。」
のんびりと昼食後のひと時に船長が仲間たちに対してこう言ってきた。
地図をテーブルに広げ、今いる現在地を指さす。
「今が大体この辺りで…たぶん明日くらいには着くかな。」
「…現在地が分かるんですか?」
この海しか見えない中でどうやって現在地を把握できるのだろうかと素朴な疑問をマツリはぶつける。
「ああ。」
「どうやって?」
「マツリちゃん、船長は星を見て現在地を把握することができるのよ。」
「えっ?」
「まぁ、それだけじゃなく方位磁石も頼っているがな。」
磁気が通じないところだと困るからな~と何でもないことの様にのんびり言うが、マツリは尊敬の視線を船長に送る。
「…そんな目で見られると流石に照れるなぁ。」
「誰にでも取柄はあるよな。」
「違いないわね。」
「同感。」
「ちょっと、少しは調子に乗らせてよ…。」
棘のある言葉の数々に船長は照れたものから苦みのある表情へ変化させた。
「趣味から転じて分かるようになったんだよ、今度マツリちゃんにも教えてあげる。」
「ありがとうございます!」
「あ、それで本題に戻すと…。」
船長は指を近くの島に移動させた。
「このシナナ島にしようと思う。」
「目的は何ですか?」
「お、メソドくん良い質問だねー。」
「褒められなくても、いつもの事でしょ。」
「まあまあ…休憩と食料確保、それとお金儲けです。」
ということで、よろしくね~と船長は自分の部屋へ帰っていった。
「…あの、メソドさん。」
「何?」
「気になったのですけど、皆さんは行く先々で稼いでいるのですか?」
正直それなら海賊ではなくて、ただの旅団なのではないのだろうかと疑問を投げる。
「あくまで合法的に、だから。」
「合法的…?」
「なるべく穏便な仕事を選んでいるけど、そうじゃない仕事もしてるよ。」
「は、はぁ…。」
それだけ言ってメソドはその場からいなくなった。
「メソドちゃんは、そっけないわね~。」
メソドの後ろ姿を見送っていると、サナが話しかけてきた。
「分かりにくかったでしょ?」
「…え、えっと、少し。」
「遠慮しなくていいのよ。」
優しい言葉を掛けられてから、ポンポンと頭を撫でられた。
「合法的にっていうのは、悪い人からお金や食料を取ることもあるってこと。」
「え!?」
「例えば、同業者でわたしたちに襲いかかってきた人たちとか…盗賊団とか。」
さらりと言うが、それは相当凄いことではないかとマツリは思った。
「えっ…こんな少人数で、ですか?」
「意外とどうにかなるものよ~。」
「いやいやいやいや。」
過剰な反応を示すマツリにサナは微笑み、話を続けた。
「多少のものは警察に届けるけど、基本的に貰っちゃうわね…だから、正規のお仕事じゃない時は汚いお金に手を付けているわ。」
「へぇ…。」
「まぁ、他にも色々あるけど。」
最後にこっそりと呟いたが、すぐに表情を明るくしてサナはこの言葉で締めくくった。
「マツリちゃんにもお仕事頼むことがあるけど、ちゃんと選んで頼むから安心してね。」
