第17章

現れた新たな人物の顔を見るとサナは息を飲む。
「―双子?」
そう、全くもって瓜二つ。
血が通っているのかと思う程、二人は似通っていて、顔、姿、恰好…わざと合わせているのか、ほぼ同じで、違う箇所といえばツリ目とタレ目の違いくらいだ。
「違う、双子じゃねぇ…他人だ。」
似顔絵にもあったろ、とノイが説明する。
「基本的には二人行動だが、一人だけ表に出る事で一人しかいないと思わせる…似顔絵にも一人しか描かれていなかったのはそういう事だ。」
なるほど、それが彼等の生きる方法だったのだろうとサナは納得した。
「イー…他の奴等をどうにかしろって」
「嫌だ!あの人がいるのにヨウ一人じゃ難しいでしょ!」
恐らくこれまで他のメンバーをサポートしていたが、海賊達があまりにも手強くこちらに来てしまったのだろう。
(ノイちゃんの実力ももう割れているみたいだけど…戦う意思は変わらないみたいね。)
不安そうな表情をするも、武器を掲げる事を止めないイーと、相方から武器を渡して貰いもう一度こちらを睨むヨウ。
先程は抵抗も何もしないと言った様子のノイだったが、ふうと一度息を吐くと見慣れた構えをする。

戦闘の構え。

「やるのね。」
「二人揃ったからな。」
面倒臭いぞ、と助言を貰うがサナは呆れた口調で返す。
「貴方の方がよっぽどですよ。」
一瞬虚をつかれた表情をするも、口の端を上げた。
「お前もな。」
その言葉を最後に、二人は弾かれる様に離れる。

二人の犯行をここで止める為に。
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