第2章
「…まぁ、俺たちは目的とかはまったく一緒ってわけじゃないんだよね。」
ナンチー島を出発し、船長の部屋でこの船について様々な説明を受けてから海賊たちについてマツリは説明を受けていた。船長にざっくり説明され、マツリは「はぁ…。」としか返せなかった。
「最終的な目的は、割と似たようなもんなんだけど…まぁそこらへんはまた後々。」
「あの、じゃあ…その目的を達成したら、皆さんは解散するということなんですか?」
「お、そこ気付いちゃうか。」
「船長、茶化さずに答えてあげてください。」
見かねてメソドが話しに割って入る。
「ていうか、メソド君の方がこういうこと適役でしょ。」
「頼まれたのは貴方でしょう。」
終始つっけんどんな態度のメソドに船長は口を尖らせる。
「年甲斐もなくそんなことしないでください。」
「4歳しか若い奴に言われたくない~。」
「年上にそんなこと言われる筋合いはない。」
「あの…。」
「あ、ごめんね。」
申し訳ないように話しかけるマツリに気付き、メソドは話を元に戻す。
「まぁ、目的を果たしたらたぶんそうなるかな、といっても皆結構叶う事が難しいものだからまだかかりそうだけどね。」
「な、なるほど…。」
「でも、何だかんだ法に触れてることもしてるし、加えてこんな酔狂な船に乗ってくる人は少ないから離れた人はいないね。」
「わ~、何気に俺たちだけじゃなくマツリちゃんにも酷いこと言ったね。」
「…逆に、皆それほど意志が強いってこと。」
「確かに酔狂だな。」
と、マツリのバンダナから声がする。
「お前は黙ってろ。」
すぐにマツリは自分の額にぐりと拳をねじ込む。
「いたた…マツリちゃん、目は大切にしないと駄目だぞ~。」
「もうすでに二つも目玉があるから、三つ目はいらないよね?」
「やだ~、娘が反抗期抜けない~。」
「誰が娘だ。」
ごりごりと声の元に拳を食い込ませる。
「…ま、そう言われてもしょうがないけどね。」
マツリとミツメのやり取りを見て船長は苦笑いをする。
「あ、すみません…コイツのいう事は真に受けない方がいいです。」
「へぇ、どうして?」
「あることないこと言うので…。」
「…そうなんだ。」
相槌を打つと、船長はマツリに手を差し伸べた。
「今更だけど、自己紹介はまだだったよね?」
「え、はい。」
「俺はここの一応取締役、船長のリヒトだ、これからよろしくな。」
「あ、えっと…マツリです、よろしくお願いします。」
「ミツメでーす!」
きゅっとお互い手を握ると、ノックの音が聞こえてきた。
「そろそろご飯の時間よ~。」
その声はサナのもので、マツリは一瞬誰が話しているのか分からなかった。
(あの人、あんな言葉で話してたっけ…?)
「お、ちょうどいいな。」
船長は手を離し、ドアの方へと歩いて行った。
残された部屋でメソドが話しかけてきた。
「…念を押しておくけど、一応犯罪者の仲間になったってことだからね、君。」
「え…あ、はい。」
「指名手配はされてないけど、俺たち色々やっているから。」
「…そうなんですか。」
「うん…じゃ。」
最後はそっけなく、メソドはそこからいなくなった。
マツリも2人の後を追うように食堂へと急いだ。