第17章

船長に襲い掛かる武器を振り払ったのは、船長ではなく。
後ろで潜んでいたサナとメソドが投げたナイフだった。
「…待ちましたよ、もういいですよね?」
何故かイラついている様子で聞くメソドに「ああ。」と彼は答える。
「予定通りでお願いね。」
再びどこから出てきたのか分からない人物達が増え、犯罪グループは一瞬怯むもたかが3人になっただけと彼等に刃を向けた。
「どっから出てきたか知らねぇが、人数はこっちが…ッ!?」
正面の海賊達に向かっていたのに、急に真横から来た衝撃で一人が倒れる。
「こっちにもいんだよ。」
その言葉の後にすぐ近くにいた別の人物にもノイが蹴りを放ち、まとまって襲おうとしていた彼等は攪乱され、更に反対側からも見えない存在が殴ってくると訴える人物も出てきて、アジトの中は一気に混乱が駆け巡る。
「た、たすけてくれぇ!」
非戦闘員なのか情けない声で外に出ようとするが、ドアが何故か引っ掛かり出る事が出来ない。
「な、何で…入った時は何も…うぐっ!?」
真横から鈍器で殴られた様な衝撃がして、その人物は倒れる。
気絶するその直前、空気だけだと思っていたその空間に少し歪みが見え「―ごめんなさい。」とその場では不釣り合いな少女の声が聞こえた。
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